4月7日(日)、愛知県美術館「円山応挙展」で《藤花図屏風》を見た後、
松坂屋美術館「山下清展」へ行きました。
チケットをいただかなければ行かなかった展覧会です。
山下清‥‥「裸の大将」として映画やテレビドラマにもなりましたね。
どうもああいう人情的なドラマは私は苦手で、
(主題歌「野に咲く花のように」は大好きなんですが)
彼の貼絵もそんな先入観があって、展覧会とかちゃんと見たことがなかったです。
チラシ表面に使われている《スイス風景》
ナイーブアートってなるんでしょうが、イマイチ感心しなくて‥‥
裏面の《長岡の花火》は、あ、これ彼の絵としてよく見るな‥‥ってくらいで。
(でも右上の《ラ・ムスメ(娘)―ゴッホによる》貼絵は面白いなって思った)
まぁ、そんな状態で展覧会場に入り、人の多さに疲れ‥‥山下清の絵のせいか、
日曜日だったせいか(天気も悪くて行楽の予定がダメになった?)
中学生以下無料のせいか、子供たちが結構来ていました。
もちろん子どもたちが早くから美術に親しむのはいいことなんでしょうが、
どうも私は気が散って‥‥やっぱり美術展、平日に来なきゃダメだなって。
なので、あまりじっくり絵を見なかったんですね。
でも、この展覧会、充実した企画でしたよ。とにかく作品数が多い!
初期から晩年までの多くの貼絵やペン画、絵付けをした陶器、
「裸の大将」のドラマとはかなり違っていたところもあったとのことですが、
放浪中に使用したリュックや浴衣、日記帳なども含めて約210点が展示されていました。
私は貼絵よりも彼のペン画(どこにでも売っているようなマジックインキを使って書いている)が
面白いなって見ました。特に最後の大作「東海道五十三次」
ヘタウマイラストの元祖みたいな。
会場外のロビーで流されていた、山下清の映像が興味深かった。
昭和32年(1957年)に制作されたものだそうで、今からすると、障害者への差別的発言も
ちょっと気になるんだけど、貼絵の制作風景、あの大きな手で、色紙をホントに小さく
ちぎって、機械的ともいえる手早さで貼り付けていく様子が映されていてすごいなって。
今、チラシ見返してて思ったんだけど、これらの絵、私の中学校の頃の
美術の教科書の「生徒作品」みたいな雰囲気だなって。
今の美術の教科書がどうなってるかはよく知らないけど、
そういや《長岡の花火》あたり教科書に載ってなかったかな?
子供の絵って面白いけど、彼の場合、ずっとその面白さが続いたわけですね。
確かに味があって面白い、ちょっとなつかしさを感じるような素朴な絵です。
この「山下清展」ずいぶん前のNHK日曜美術館のアートシーンで取り上げられていたけど、
去年の4月28日に、ふくやま美術館で始まり、福井市美術館、佐賀県立美術館、
大分市美術館、日本橋三越、富山県水墨美術館と巡回し、
ここ松坂屋美術館が最後のようです。その松坂屋美術館の会期も4月9日(火)で終わりました。
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美術館の後で、6階の画廊もちょっとのぞいたら、「さのあきら うるし展」が
すごく面白かった! 漆で塗られたヘンテコでカワイイキャラクターたち。
キラキラのデコパーツで飾られているのもあって、とにかく面白~い!!
漆でゴキブリを作ってるのもあったけど、なまじ漆の光沢が似ているだけに‥‥ハハハ。
もちろん買えないけど、これひとつ欲しいなって思っちゃうような可愛さです。
さのあきら(佐野暁)
1981年 滋賀県生まれ
2011年 京都市立芸術大学大学院後期博士課程 漆工研究領域修了
という若い作家さんですが、もうあちこちの受賞歴などもあるようです。
これから楽しみな方ですね。
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松坂屋美術館「山下清展」
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