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岐阜県美術館「最後の印象派」展と講演会

11月29日(日)に、岐阜県美術館へ行って来たことを。
「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris」展を
やっています。
このチラシに使われている絵がとても素敵!!
アンリ・マルタン《野原を行く少女》1889年
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印象派っぽいタッチで描かれた絵だけど、現実の風景というよりは、
象徴派っぽい? キラキラした光と花に包まれた少女の
なんとロマンチックなこと!! モロに私の好みです!!
でも、アンリ・マルタン、知らない画家だなーって。

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裏面でも、リュシアン・シモン(上段左の絵)、
エルネスト・ローラン(下段)は初めて聞く名前でしたし。
アンリ・ル・シダネル(上段中・右)は、名前は聞いたことがある
‥‥ちょっと前に展覧会とかあったなって。
エミール・クラウス(中段右)は、碧南市藤井達吉現代美術館で
「エミール・クラウスとベルギーの印象派」展 を見たっけ。 
(中段左はアンリ・マルタンの絵)

エコール・ド・パリ、フォーヴィスム、キュビスムなどが展開していた20世紀初頭、世界中でひとつのブームを作った芸術家集団がいました。「画家彫刻家新協会(ソシエテ・ヌーヴェル)」と呼ばれるこの集まりは、1900年パリ万博の芸術展示において中心的存在となり、パリを一大芸術都市として世界に紹介します。彼らは先鋭化されたアヴァンギャルドに容易に移行することなく、印象派を受け継ぎながら、ベル・エポックの時代の雰囲気を汲み取みとり、自らの伝統を穏やかに刷新しました。「自然」に忠実であることを特徴とし、日常にひそむ悲愴感や不可思議さ、事物に潜在する詩情を深く追い求めるその芸術は、近年再評価されつつあります。
本展では、これまで日本でほとんど知られることのなかった「ソシエテ・ヌーヴェル」に属したメンバーたちの作品を本格的に紹介いたします。
(チラシ裏面の文)

まぁとにかく、私は岐阜県美術館の後援会員なので、各企画展を
1回ずつは無料で見られるんですが、その後援会員の年会費を
11月末までに払い込まなくてはいけなかったので、
(年会費3,000円で、岐阜県美術館だけでなく、
岐阜県現代陶芸美術館の展覧会も1回ずつ無料で見られるので、とてもお得!!)
11月29日(日)に行ったんです。ちょうど講演会もあるから聴いてこようと。

講演会の前にとりあえず鑑賞。入口近くには、ちょっと素敵な壁紙に、
見たことのある絵が。参考作品として、
岐阜県美術館所蔵の作品が並んでいます。
《月下の川沿いの家》あ、この絵シダネルだったんだ! って。

モローっぽくて岐阜県美術館の所蔵作品の中でも私の好きな作品
ジョルジュ・デヴァリエール《アフロディテ》も並んでいました。
デヴァリエール、象徴派の画家だと思っていましたが、この企画展では
《リュシアン・シモンの肖像》という、全くイメージが違う絵が出てました。

そして、エドモン・アマン=ジャン(1858-1936)の絵が10点並んでました。
ちょっとロマンチックな‥‥アール・ヌーボーっぽい雰囲気もあるなって。

エルネスト・ローラン(1859-1929)の絵が5点、

アンリ・マルタン(1860-1943)の絵が7点、チラシに使われていた
《野原を行く少女》の絵は結構大きくて良かったです!!

アンリ・ル・シダネル(1862-1939)の絵が7点、
チラシ裏面にも使われている白いドレスの女性たちが佇んでいる
《日曜日》1898年 は、私好みのロマンチックさで良かった。

それからアンリ・デュエム(1860-1941)、シャルル・コッテ(1863-1925)、
リュシアン・シモン(1861-1945)、アンドレ・ドーシェ(1870-1948)‥‥

うーん、知らない画家ばかりだし、なんかぼんやりしたカンジの絵が多くて、
あんまりいいと思えないなぁ‥‥
私が印象派があまり好きでないこともあるのかな。
特に「バンド・ノワール」と呼ばれる画家たちの絵は暗くて‥‥

なんかそんなカンジで、2時からの講演を聴きに講堂へ行きました。
「最後の印象派~ソシエテ・ヌーヴェルについて」
講師は、(公財)ひろしま美術館学芸部長 古谷可由(ふるたに よしゆき)氏

この展覧会を企画された方なんですね。プロジェクターで図や映像も交えて、
当時の美術界の流れをとてもよくわかるように説明してくださいました。
(以下、聞き違い等もあるかもしれません)

アンリ・ル・シダネルのひ孫・ヤンさんの協力の下で
2011~2012年に日本でシダネル展が開催されたそう。
そのヤンさんから、今度はシダネルのソシエテ・ヌーヴェルの仲間の展覧会を
やりましょうと言われて、この展覧会を企画したと。
「ソシエテ・ヌーヴェル(画家彫刻家新協会)」
日本ではほとんど知られていないが、20世紀初頭、
ベル・エポックを代表する美術団体だそうです。

印象派も最初は批判を浴びたけど、やがてアカデミズムに取り込まれていきます。
そして、20世紀初頭、フォーヴィズムやキュビスムなどが台頭してくるけど、
それらはまだ批判を浴びている段階で、こちらが主流であったと。
当時、画家になるには、
まず、国立美術学校(エコール・ド・ボザール)に入学
「ローマ賞」を受賞して、奨学金でイタリアに留学する
帰国後、サロンに絵を出展して活躍する
そして、
「レジオンドヌール勲章」を受賞し
「リュクサンブール美術館」で展覧会
美術アカデミーに入る のが画家としての成功だと。

そんな中、このソシエテ・ヌーヴェルの画家たちは、
印象派の次の世代として、あえてアカデミックな立場で、
サロンの中心的存在であり、
特に主義主張のない団体で、画家たちの個人的なつながりで成立していたと。

例えば、エドモン・アマン=ジャンとエルネスト・ローラン、そして
ソシエテ・ヌーヴェルの画家ではないけど、点描のスーラは
エコール・ド・ボザールの同級生で、
1級下にアンリ・マルタンがいて(マルタンの点描はスーラの影響だと)
2級下がアンリ・ル・シダネルだそう。

そして、シダネルがパリを去って北のエタプルで制作をするようになり、
北の仲間がウジェーヌ・ヴァイユ(1857-1934)
アンリ・デュエム(1860-1941)
フリッツ・タウロヴ(1847-1906)
彼らはそれぞれの地域で制作し、年に一度、パリでソシエテ・ヌーヴェルの
展覧会を開いたそう。

シャルル・コッテ(1863-1925)らは「バンド・ノワール(黒の一団)」と呼ばれ、
暗い画面が特徴とのこと。

古谷さんは、今回の企画展のタイトルに悩み、
「ソシエテ・ヌーヴェル」をどうとらえるか、
どれか、と言われれぱ「象徴派」か?
ヤンさんは「アンティミスト(親密派)」だと言うと。
(アンティミスト、日常風景を親しみ深く描く、ボナールやヴュイヤールが代表画家)
でも、彼らの光にこだわる画面から「最後の印象派」というタイトルにしたそう。

当時は美術界の主流で、人気があった彼らも、すっかり忘れられていたけど、
最近は再評価されつつあるとのこと。

アンリ・ル・シダネルの展覧会を開催するにあたり、日本の美術館にある
シダネルの絵を調査したそう。(22点?見つかったとか)
でも、シダネルは、大正期にはたいへん人気があった画家なので、
今後個人蔵の絵が見つかる可能性もあると。
(事実、展覧会の後で連絡があり、鑑定の結果シダネルだとわかった絵もあるそう)
もし、家にシダネルか?って絵があったら知らせてほしいとのことでした。

以上、簡単なメモはとったんですが、日にちも経ってるので、忘れちゃったりして
違っているところもあるかもしれません。
《野原を行く少女》とか、シダネルの絵など、素敵!って絵もあったんですが、
全体的にイマイチな印象で、図録は買いませんでした。

この「もうひとつの輝き 最後の印象派」展
9月5日(土)~11月8日(日)に、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催された後、
11月14日(土)~2016年1月17日(日)、岐阜県美術館で開催。その後、
2016年1月30日(土)~3月27日(日)に、ひろしま美術館へ巡回するそう。

岐阜県美術館、年末年始は、12月27日(日)~1月1日(金)が休みですが、
1月2日(土)、3日(日)は開館。着物で来館すると当日通常料金
(一般1,100円・大学生900円・高校生以下無料)より100円引きだそうですよ!
これまで日本であまり知られていない画家たちの絵が見られる貴重な展覧会です。

岐阜県美術館: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/

オマケ:12月17日(木)中日新聞岐阜近郊版に載っていた記事
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