Quantcast
Channel: 猫と花の日々
Viewing all 803 articles
Browse latest View live

我が家のバラ「ヨハンシュトラウス」

$
0
0

前記事で、我が家で咲いているバラを紹介しましたが、
去年買ったバラ「ヨハンシュトラウス」のこと、
ブログ記事にしていないのに気付きまして、

あらためて紹介します。
2014年5月7日、近くまで用事で行った帰りに長良園芸に寄りまして、
いろんなバラを楽しく見て、連れ帰ってきたんです。
(我が家のレディラック、(枯れちゃったけど)カフェ、ベンジャミンブリテンが
 ここの出身です。)
2014-5-7-(1).jpg

この大きさで、こんなに蕾がついて3,980円はお値打ちだと。
ツヤツヤの健康そうな葉も気に入りましたし。
2014-5-7-(2).jpg

「ヨハンシュトラウス」花フェスタ記念公園で見たことがありました。
花フェスタ記念公園のバラ (2)
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2008-05-27

5月12日 咲き始めました。
2014-5-12-(12).jpg

5月13日 優美で上品な花姿ですね。
2014-5-13-(6).jpg
2014-5-13-(7).jpg
フロリバンダローズなので、わりと大きな花が房咲きになるのが素敵です。
2014-5-13-(8).jpg


5月17日 たくさん付いていた蕾が花開いて豪華です。
2014-5-17-(6).jpg

5月18日 この後、咲いた花を切って花束を作りました。
2014-5-18-(1).jpg

6月27日 新しい枝が伸びて、また花が咲きました。
2014-6-27-(1).jpg

花瓶に生けました。ちょっと古風な雰囲気が和風の花瓶にも合うなと。
2014-6-27-(10).jpg

ヨハンシュトラウスのちょっと残念なところは、香りがほとんどないこと。
でも、トゲもあまりないし、ツヤツヤの葉も美しいし、
なにより、花がとても上品で優美な色と形で、たくさん咲くので
とても気に入ってます。

以上、去年のヨハンシュトラウスでした。
今年も上品な花を咲かせてくれたことは前記事で書きました。
購入してから植替えをしていないので、手入れしてやらないととは
思ってるんですけどね。



名都美術館「花と緑の日本画」展とピエール・プレシュウズ

$
0
0
5月24日(日)愛知県長久手市にある名都美術館へ行きました。
「花と緑の日本画」展の最終日。
meito-art-1.jpg
チラシ表面に使われているのは、堀文子《流れ行く山の季節》(部分)

その一週間ほど前にチケットを2枚もらったんです。
「名都美術館」名前は聞いたことがあるけど‥‥というくらいの
知識しかありませんでした。なので、ネットで調べて、
そうそうたる日本画家の花や緑をテーマにした絵が並んでいるようだし、
まぁせっかくなので、友人も行けるようなら行ってみようかと。

当日は町内のドブ掃除だったので(下水道が完備した現在では、
ほとんどやることもないんですが)それが終わってから、
10時半過ぎに出かけました。
小牧ICから東名高速で名古屋ICへ。猿投グリーンロードを東に進むと、
リニモの高架が見えてきます。リニモ「杁ヶ池公園」駅のすぐ先の
「東狭間」交差点を右折するとガソリンスタンドの隣にあるので、
すぐわかりましたが、駐車場がぐるっとまわったところにあって、
看板を見ないと、ヨソの駐車場に停めそうなので注意が必要です。

モダンな和風のこじんまりした美術館で、石庭風の中庭も
いい雰囲気です。最終日だからか、思っていたよりも観覧者は
多かったです。もちろん混雑というほどではなかったですが。

今回の展示は、新宿にある佐藤美術館が所蔵する
「国際花と緑の博覧会」出品作品
meito-art-2.jpg

「花の万博」と親しまれた「国際花と緑の博覧会」は1990年に開催されました。
「花と緑・日本画美術館」には、日本画壇で注目されていた人気作家の
「花と緑」をテーマに描かれた新作が展示され話題となり、現在そのすべて
の作品を佐藤美術館が所蔵しています。
(チラシ裏面より)

なので、展示作品は全て1990年に制作されたもの。
(1点だけ1989年制作の作品がありますが)
‥‥もう25年前かぁ。バブル景気最後の年だったとか

最初に東山魁夷《麗春》が(チラシ裏面2段目)
おぉ、さすが巨匠・東山魁夷、いいですねぇ!
東山魁夷1908-1999とのことですから、82歳の作品ですね。

チケットにも使われている加山又造1927-2004《夜櫻》は63歳の作品
meito-art-3.jpg

片岡球子1905-2008《富士に献花》は85歳の作品かー

小倉遊亀1895-2000が最高齢かな。95歳の作品《紅梅と古鉢》
さすがに小品だけど、コメントにあったように、古鉢と紅梅の枝が
おしゃべりしているようにも見えてきました。

上村松篁と上村淳之の父子の絵が並んでいるのも興味深かった。

緑あふれる風景や、咲き誇る花々など、美しい自然が描かれた日本画、
とても良かったです。
こじんまりした美術館なので、出品リストには50点あったんですが、
前期・後期で展示替えがあって、私が行った最終日5月24日には
34点の展示で、出品リストの名前を見て、ちょっと物足りないような
残念な気もしましたが。

記念に、私が気に入った絵のポストカードを2枚選んで買いました。

迷わず選んだのがこちら
加倉井和夫《松韻》
meito-art-4.jpg
この何もない空間と、ちょっと単純化されたような松の枝がよかった。

もう一枚はちょっと迷ったのですが(チラシに載っている作品は除外しようと思って)
今野忠一《浅間》
meito-art-5.jpg
とても迫力があったんですよね、この絵。

ネットで名都美術館を調べたついでに近くの飲食店も見たら、
ケーキ・カフェの名店があるみたいなので、そちらへ行ってみることに。

ピエール・プレシュウズ(Pierre Precieuse)
2015-5-24-(9).jpg

杁ヶ池の畔ということで行くと、オシャレな建物で、
たくさんの人が出入りしていてすぐわかりました。
ちょうど出る車があって駐車場にも入れたし(店の横と裏に11台分あります)
カフェでも名前を書いて待つほどもなく呼ばれたので、
食べログの口コミのように待ったりしなかったのはラッキーなのか?

お店の前の道の横がすぐ杁ヶ池で、
2015-5-24-(7).jpg
カフェからも杁ヶ池公園の緑を眺めながらお茶ができていい雰囲気です。
2015-5-24-(2).jpg

私は、シュルプリーズ・キャラメル・ショコラ700円と、
紅茶のアールグレー(ケーキとセットで50円引きで)600円(全て税別)
2015-5-24-(6).jpg
シュルプリーズ・キャラメル・ショコラは、アイスクリームが選べたので、
こちらもキャラメルのアイスクリームにしましたが、
甘いものが大好きな私でさえ、ちょっと甘すぎる~と。
もうちょっとさっぱり系のアイスを選んだ方が良かったかな?
甘~いガトーショコラの中に甘~いチョコレートソースが入っていて、
とってもリッチなお味なんですけどね。
アールグレーの紅茶はとても薫り高くて美味しかったです。

友人はショートケーキとエスプレッソを注文。
2015-5-24-(5).jpg
友人のショートケーキはスポンジがふわふわで美味しく、
エスプレッソも正解だったと。



関連ランキング:ケーキ | 杁ケ池公園駅はなみずき通駅



結構時間も早かったので、他も行こうかとも思いましたが、
(名都美術館の半券で、愛知県陶磁美術館の企画展観覧料が2割引になるそう)
まぁ、そこまで‥‥ってカンジで帰りました。
3時前には家の近くのスーパーで買い物してましたが、
美しい日本画もスイーツも楽しんで、なかなか優雅な休日だったと。

名都美術館: http://www.meito.hayatele.co.jp/
ピエール・プレシュウズ: http://www.pierre-p.com/

愛知県美術館「月映」展

$
0
0

5月31日(日)まで愛知県美術館で開催されていた
「月映」展のことを。
この展覧会、5月10日(日)と、最終日の5月31日(日)と、
2回も見に行ってしまいました。
(ま、愛知県美術館友の会会員で無料で入れるってのもあるんですが)
tsukuhae-1.jpg

1回目の5月10日(日)は、名古屋市博物館の「いつだって猫展」を見た後で。
猫展と違い空いているだろうと予想してました。

だって、木版画‥‥それも三人の美術学生によって作られた
60ページ足らずの冊子『月映』‥‥の展示で、ちょっとジミじゃない?と。
(観覧料もちょっと安めの一般当日900円という設定)

予想通り、ゆったり鑑賞できました。
鑑賞者もいつもより若い人の割合が多いような気がしました。

でも、私、この展覧会、私のツボっぽくて楽しみにしていたんです。
ちょっとレトロなチラシの雰囲気もいいなと。

100年前、3人の若者が木版画にかけた青春。
tsukuhae-2.jpg

月映の3人の若者、田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎のうち、
私は田中恭吉しか知りませんでした。

萩原朔太郎の第一詩集『月に吠える』の挿画を描いた人だと。

萩原朔太郎は私の大好きな詩人です。
高校時代、現国の教科書で萩原朔太郎の詩に出会い、
(「竹」と「青樹の梢をあふぎて」が載ってました)
彼の詩集や彼について書かれたものを読みはじめました。

その時に『月に吠える』の挿画を見て、
アール・ヌーボーや世紀末っぽい雰囲気の絵も素敵だったけど、
田中恭吉が結核で23歳で夭折したということを知って、
ロマンチックだと、乙女チックに胸ときめかせておりました。
‥‥でも、幼い子供が死ぬのはもちろん痛々しいけど、
  死とは何かが十分理解できる、そしてこれから結婚や仕事への
  希望にあふれていたであろう二十歳前後の若者の不治の病―結核―
  なんと残酷な病であったのでしょう。

ついでに思い出話を‥‥
萩原朔太郎の詩集から、ノートに気にいった詩を書き写したりして、
(まぁ、乙女チックな女子高生がよくやることですね)
そのノートには中原中也、立原道造の詩が書かれていき、
その後に三好達治、西脇順三郎や田村隆一なども加わりました。
当時は『詩とメルヘン』も愛読していました。

そんな私のちょっと懐かしの乙女心をくすぐるような展覧会でありました。
また会場にあった鑑賞ガイドと「月映ものがたり」の
少女マンガっぽく描かれた3人の物語がすごく良かった!!

鑑賞ガイド(作品リスト付)
tsukuhae-3.gif

月映ものがたり
tsukuhae-4.gif

この少女マンガっぽい3人のイケメンぶりが、乙女心をくすぐります!
tsukuhae-4b.gif

これは愛知県美術館が作ったもの?
イラストは名古屋市の漫画家・温田庭子さんだそう。
「つくはえtwitter」の3人のアカウントも興味深いです。
愛知県美術館、頑張ってますね!
tsukuhae-5.jpg
(中日新聞5月5日(火)の記事より)

そしてかなりの作品が愛知県美術館蔵ってのにも驚きました。
展示されていた機械刷りの「公刊『月映』」は、
ほとんどが愛知県美術館所蔵のものなんですね!

展覧会の最後の方には萩原朔太郎が恩地孝四郎にあてた手紙も
展示されていて、興味深く見ました。

『月に吠える』は、田中恭吉の死後に出版されたんですね。
萩原朔太郎が発行されたばかりの『月映』を見て、詩集の挿画を
田中恭吉に依頼したけど、制作の途中で田中恭吉は他界。
恩地孝四郎がその後の仕事を引き受けて完成させたものだと知りました。
恩地孝四郎は三人の中で最初に竹久夢二と交流を始めたり、
「月映」発行の実務的な仕事も行っていたんですね。

田中恭吉の病的で繊細な画風もいいし、
日本で最も早く抽象表現へと進んだ恩地孝四郎もいいけど、
私は、自刻木版ならではの単純化表現の藤森静雄が好きみたい。

迷ったけど図録買わなかったんです。
で、記念にポストカードをと、気に入ったのを2枚選んだら、
どちらも藤森静雄のでした。

藤森静雄《かげ》
tsukuhae-7.jpg
この立つ男のくっきりとした影がいいですね。
光を感じます。

そして、チラシやチケットにも使われていますがやっぱり、
藤森静雄《夜のピアノ》
tsukuhae-6.jpg

この作品を見ていて、昔、ノートに書き写した
萩原朔太郎の詩を思い出しました。

黒い風琴

おるがんをお弾きなさい 女のひとよ
あなたは黒い着物をきて
おるがんの前に坐りなさい
あなたの指はおるがんを這ふのです
かるく やさしく しめやかに 雪のふつてゐる音のやうに
おるがんをお弾きなさい 女のひとよ。

だれがそこで唱つてゐるの
だれがそこでしんみりと聴いてゐるの
ああこのまつ黒な憂鬱の闇のなかで
べつたりと壁にすひついて
おそろしい巨大の風琴を弾くのはだれですか
宗教のはげしい感情 そのふるへ
けいれんするぱいぷおるがん れくれえむ!
お祈りなさい 病気のひとよ
おそろしいことはない おそろしい時間はないのです
お弾きなさい おるがんを
やさしく とうえんに しめやかに
大雪のふりつむときの松葉のやうに
あかるい光彩をなげかけてお弾きなさい
お弾きなさい おるがんを
おるがんをお弾きなさい 女のひとよ。
(後略)


萩原朔太郎 詩集「青猫」より

愛知県美術館: http://www-art.aac.pref.aichi.jp/
月映展公式ウェブサイト: http://tsukuhae.com/

『月映』展は、
宇都宮美術館 2014年11月16日(日)~12月28日(日)
和歌山県立近代美術館 2015年1月17日(土)~3月1日(日)
愛知県美術館 4月17日(金)~5月31日(日) と巡回してきて、次は
東京ステーションギャラリー 9月19日(土)~11月3日(火・祝) だそうです。

愛知県美術館「月映」展時のコレクション展

$
0
0

「月映」展を見た後で、当然ながらコレクション展も見ました。
愛知県美術館は所蔵作品が充実しているので、いつも楽しみなのです。

まず入口の立体、面白いなーと。
イケムラレイコ《茶目っ気のある》

そして展示室4は奈良美智の作品がずらり!(1点を除いて寄託作品)
うーん、でもこの人の作品、たくさんあっても、
なんかワンパターンで、どれも同じように見えちゃうんだけど。

展示室5がスゴかった!
今改修中の豊田市美術館の所蔵作品が一緒に展示されてて豪華!!

クリムトの
豊田市美術館蔵《オイゲニア・プリマフェージの肖像》と、
愛知県美術館蔵《人生は戦いなり(黄金の騎士)》が並ぶと、
やはり迫力ww

愛知県美術館で見慣れた《黄金の騎士》も、なんかいつもより
大きいような印象を受けたのは、展示されている位置が高い(?)せい?

オスカー・ココシュカ《絵筆を持つ自画像》
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》
どちらも豊田市美術館蔵の作品。豊田市美術館の作品は大きいんですよね。
広い展示室で、豪華に見えます。

エルンストの絵も2つ並ぶと見応えあるなぁ!
豊田市美術館蔵《子供、馬そして蛇》
愛知県美術館蔵《ポーランドの騎士》
そして豊田市美術館蔵のエルンストの立体《王妃とチェスをする王》も来てました。

デルヴォー《こだま(あるいは「街路の神秘)》の隣には、ベルギーつながり?で
豊田市美術館蔵のマグリット《無謀な企て》が。

豊田市美術館、イヴ・クラインの青一色の絵(?)《モノクロームIKB65》
所蔵しているんですね。
愛知県美術館蔵の青一色の立体作品は展示してなかったですが。

展示室6 プロジェクト・アーチvol.14は、名古根美津子の作品
顔を隠したセルフ・ポートレート。
とても色がきれいで、ファッション写真のようでもありますが‥‥
NagoneMitsuko.jpg
(会場でもらったリーフ表紙)

展示室7は、「月映」の時代の美術作品が展示されていました。
黒田清輝《花と猫》1906年や、山下新太郎《白耳義の少女》1909年、
中村彝《少女裸像》1914年、岸田劉生《高須光治君之肖像》1915年、
河野道勢《自画像》1917年‥‥
「ヨーロッパの新しい美術動向が次々と伝えられ、
 作家の主観や内面性などが重んじられるようになっていった」時代だそう。
山本鼎やカンディンスキーの版画もあって興味深かった。

展示室8 木村定三コレクションは、
漆の工芸作品が並んでいました。おぉ、シブいなぁー。
漆器が「枯れた(経年劣化した)」趣とか、
私にはイマイチ良さがわからないんだけど、きっとスゴいんだろうなぁー。
日本のものだといちばん新しいのが江戸時代のもの。
中国の元時代(14世紀)、宋時代(12-13世紀)のものとか、
タイ・ミャンマーのものとか、すごいんでしょうねぇ。

愛知県美術館: http://www-art.aac.pref.aichi.jp/

曽根城公園の花菖蒲

$
0
0

6月11日(木)、パートが休みだったので、友人と
大垣市の曽根城公園へ花菖蒲を見に行きました。

9日(火)に、たまたまテレビを見てたら、NHKの地域ニュースで
曽根城公園の花菖蒲が見頃ってやってたんです。

で、へーいいなって、iPhoneのナビで行きました。
大垣市の北部、岐阜経済大学の北、神戸町との境にあります。
近くまで行くと、「花しょうぶ祭」の旗も立っていて、
(6月14日(日)にはイベントやバザーもあるそうです)
駐車場の案内もありました。観光バスも来ていました。

2015-6-11-(49).jpg
約150種28,000株(H27年5月時点)のハナショウブが植栽されているそうです。
大垣市のHPより)

百年公園の菖蒲園」でも書きましたが、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-06-24
花菖蒲は、日本の在来種・ノハナショウブを原種として、
特に江戸時代後期に改良が盛んに行われ、多くの品種が作られました。

そして、改良された場所によって、
すっきりと粋な江戸系、
ボリュームがあって豪華な肥後系、
はかなげで繊細な伊勢系があるとのこと。
(NHK「美の壺」で知りました)

伊勢路の春‥‥名前からわかるように伊勢系
ほのかにピンク?っぽいのが春っぽい?
2015-6-11-(4).jpg

天津風(あまつかぜ)肥後系
2015-6-11-(6).jpg

駒繋(こまつなぎ)肥後系
2015-6-11-(8).jpg
「やや藤色味のある濃いピンクの中輪花です。草丈は100cm前後に伸び、性質も丈夫で繁殖もよく、優良な性質を兼ね備えた優秀花です。」
曽根城公園の花菖蒲の種類の説明ページより
http://www.city.ogaki.lg.jp/0000009842.html

紫鳳殿(しほうでん)肥後系
2015-6-11-(10).jpg

センターオブ・インタレスト 米国系
2015-6-11-(11).jpg

神子神楽(みこかぐら)
この品種、あまり花弁が垂れ下がらない品種かしら?と思ったのですが、
私の持ってる「主婦と生活 生活シリーズ217 花の園芸大百科」に、
肥後系の花として写真が載ってるのを見ると豪華に垂れ下がってます。
2015-6-11-(14).jpg

曙光(しょこう)伊勢系
2015-6-11-(15).jpg
白い花菖蒲だと見てたんですが、曽根城公園の花菖蒲の種類の説明ページによると、
「薄いピンクにやや濃いピンクの細い脈が入る中輪花です。垂れ咲きで、花色は開花2日目には薄くなります。」
2015-6-11-(17).jpg

澄心(ちゅうしん)肥後系
2015-6-11-(18).jpg

石橋(しゃっきょう)熊本系
熊本系と肥後系ってどう違うのかな?
「小豆紅色の大輪花です。熊本で育成された品種で、熊本花菖蒲が門外不出であったころ、特に厳重に守られた格式のある品種です。」
2015-6-11-(20).jpg

ステップルド・リップレス
2015-6-11-(22).jpg
いかにも外国で改良されたって品種ですね。
カーネーションとかトルコキキョウのような雰囲気の優雅な花です。
2015-6-11-(65).jpg
2015-6-11-(66).jpg

追風(おいかぜ)江戸系
2015-6-11-(24).jpg
「白地に紫の細脈が入り、芯と鉾は紫に白糸覆輪の中輪花です。草丈は100cm以上伸び、丈夫で繁殖がよい品種です。」
2015-6-11-(25).jpg
2015-6-11-(26).jpg

稲妻‥‥としか立札に書いてありませんでした
2015-6-11-(28).jpg

新車駐(しんしゃちゅう)
2015-6-11-(29).jpg
2015-6-11-(31).jpg

伊豆の海(いずのうみ)江戸系
「澄んだブルーに白筋が入る中輪花です。花つきが抜群によく、枝が出て1茎から7輪も咲くことがある多花性種です。」
2015-6-11-(33).jpg

児化粧(ちごけしょう)肥後系
2015-6-11-(35).jpg
2015-6-11-(36).jpg

長正殿(ちょうせいでん)江戸系
2015-6-11-(39).jpg
「赤紫色に白筋と弁元は大底白となる平咲きの中輪花です。性質は丈夫で、よく咲きそろいます。」

稚児舞(ちごまい)肥後系
2015-6-11-(41).jpg

籟光(らいこう)肥後系
2015-6-11-(44).jpg
2015-6-11-(45).jpg

愛知の輝(あいちのかがやき)‥‥立札はなかったのですが、
曽根城公園の花菖蒲の種類の説明の最初の写真がコレだと。
2015-6-11-(47).jpg
「クリーム黄色の小輪花。弁元の目のまわりは褐色の縁取りが入ります。葉は黄緑色で草丈は低く60cm程度です。愛知県で育成され、この名がつきました。」
2015-6-11-(48).jpg

水玉星
2015-6-11-(50).jpg
「白地に紫の脈が鮮やかに入り、芯は紫色となる中輪花です。草丈は60cm前後とやや低いが、丈夫で繁殖力が抜群によい優秀花です。」
2015-6-11-(51).jpg

乙若丸
2015-6-11-(55).jpg

津の花(つのはな)伊勢系
2015-6-11-(57).jpg

紫雲の峰(しうんのみね)肥後系
2015-6-11-(59).jpg

乾徳山(けんとくさん)江戸系
2015-6-11-(63).jpg
あまり花が咲いていませんでした。これから咲く品種なのかな?

群燕
2015-6-11-(70).jpg
2015-6-11-(71).jpg

踊り子
2015-6-11-(73).jpg
2015-6-11-(74).jpg

東鑑(あずまかがみ)
2015-6-11-(76).jpg
「白地に鮮明な紫脈が入る中輪花です。芯は紫色で先端が白い縁取り。平咲きで花弁が水平に広がります。性質は丈夫で繁殖もよいです。」

ピンク・フロスト
2015-6-11-(78).jpg
「明るい藤色をほんの少し含む薄ピンクの平咲き中輪花です。花弁はフリルのように波打ち、草丈は120cmを越え、性質は丈夫で繁殖もよいです。」

燭光錦(しょっこうにしき)江戸系
2015-6-11-(80).jpg
「白地に薄い紅紫色のかすりと脈がわずかに入る中輪花です。鉾は紅紫色となる二色花です。普及しており、かつては切り花用としても栽培されました。」

多くの人が花菖蒲を見に来ていました。写真を撮っている人も多かったです。
2015-6-11-(83).jpg
花を撮影するにはちょうどよい曇り空で、花菖蒲の美しさが引き立つように思いました。
2015-6-11-(84).jpg
2015-6-11-(108).jpg

白妙(しろたえ)肥後系
2015-6-11-(110).jpg
「雪白色の極大輪です。芯が大きく豪華な大輪花に似つかわしい。葉が濃緑色なためもあり、花の白さが引き立っています」
2015-6-11-(111).jpg


曽根城公園は、戦国時代の武将・稲葉一鉄の居城跡だったそう。
花菖蒲園の他に、釣りができる曽根の池や、
2015-6-11-(97).jpg

ハリヨの池があります。
2015-6-11-(106).jpg

ハリヨとは、看板によると、
「滋賀県東北部と岐阜県西濃地方にだけ生息しているトゲウオ科イトヨ属の一種で、 成魚でも体長5~6cmの小型淡水魚です。」(以下略)

小さな魚ですが、すぐ近くまで寄ってくるので、よく見ることができます。
2015-6-11-(89).jpg

まだら模様がキラキラと輝いて、きれいな魚ですね。
2015-6-11-(91).jpg

この池は湧水が出ているようで、水もきれいです。藻がいっぱいあります。
(ハリヨは、湧水などの清水でしか生息できないとのこと。)
2015-6-11-(93).jpg

芝生広場には、梁川星巌 紅蘭夫妻の銅像があります。
2015-6-11-(104).jpg
銘文によると、
「星巌は 激動の幕末にあって 小原鉄心 横井小楠 西郷隆盛 僧月性頼三樹三郎 所郁太郎ら多くの憂国の士の精神的な支柱となり 明治回天の礎を築いた先哲であり 同時に秀れた詩人でもありました」(以下略)
へー知りませんでした。
2015-6-11-(100).jpg

大垣市HP: http://www.city.ogaki.lg.jp/

曽根城公園の花菖蒲の種類の説明ページ
http://www.city.ogaki.lg.jp/0000009842.html

曽根城公園のページ
http://www.city.ogaki.lg.jp/0000009546.html

--PR--
花菖蒲の世界も深いですねぇ。楽天市場に苗ありました。








ヤマザキマザック美術館「世界に挑んだ明治の美」

$
0
0

6月14日(日)、名古屋・新栄町のヤマザキマザック美術館へ行きました。
「世界に挑んだ明治の美
 宮川香山とアール・ヌーヴォー」という企画展をやっています。
MiyagawaKozan.jpg

このチラシ見て、うーんちょっと私の趣味とは違うかな?って
気もしたんですが‥‥ヘビとかリアル過ぎてグロテスクだし、
あまりに装飾過多でゴテゴテしてるじゃないですかぁ‥‥
MiyagawaKozan-2.jpg

でも、開館5周年記念展ってことだし、
ヤマザキマザック美術館は私の大好きな美術館で、
これまでの企画展は全部見てるし、
明治の超絶技巧ってのを見てみようと。

ヤマザキマザック美術館「エマイユの煌めき」展で、
明治の七宝の超絶技巧を見て、気の遠くなるような職人技に感心したんですが、
陶芸の超絶技巧ってのはどんなものなのかって。

ヤマザキマザック美術館は地下鉄東山線「新栄町」のスグ上。
当日一般入館料1,300円のところ、スタンプカードでゲットした割引券で
1,100円になりました。

エレベーター4階で降りて、無料の音声ガイドを借りて見て行きます。

入った正面に飾られている蛇の皿《飾碟(パリッシーウェア)》
ヘビの嫌いな人は見たくもないでしょうね。
ヘビだけでなく、周囲の虫やトカゲ、カエルや貝、シダもリアル過ぎて
気味が悪いくらい。

これは、19世紀ドイツで制作された復刻版「パリッシー・ウェア」で、
イギリスのサウス・ケンジントン博物館から日本の帝国博物館(現・東京国立博物館)に
寄贈されたものだそう。この2年前の1874年、ウィーン万博に出品した日本の美術品や
ヨーロッパで購入した美術品などが日本への帰国途中に沈没してしまい、その損失を
埋めるべく贈られたのだそう。

ウィーン万博に出品した美術品が沈んでしまった!!ってことも初めて知って、
お宝が~~なんてもったいない!!って思ったんですが、
パリッシーについても初めて知りました。

ベルナール・パリッシー (1510頃-1590)
フランス生まれ、ルネサンス期の陶工、技術・科学者。
イタリアの名工ジラが作ったフェラーラ製の陶器コップを見たパリッシーは、 その美しさに魅せられ、上質で美しい陶器を作る研究を始めました。日夜実験を繰り返し、 生活費は使い果たし困窮しながらも15年ほどの歳月をかけ、ついに、 魚や蛇などを写実的に表した独自の陶器《田園風陶器》を完成させました。
(展覧会のリーフレットより)

へーそんな昔の人なのね、知らなかったなーって、音声ガイド聴いていたら、
明治の教科書(?)にパリッシーの伝記が掲載されて、明治の日本人には、
パリッシーのことは広く知られていたそうです。
品質の高い陶器を作るために私財をなげうって薪を買い、薪がなくなれば家具を薪にくべ、 痩せこけ、骨と皮だけになりながらも、研究を継続するパリッシーの姿に、 明治の人々の心は動かされたのでした。

エミール・ガレ、ルネ・ラリックらもパリッシーから多大な影響を受けたそうで、
ガレを称して「20世紀のパリッシー」とする論評もあった程だそう。

そして、世界を驚かせた宮川香山の高浮彫の作品が並んでいるのは迫力でした。

宮川香山(1842-1916)
京都眞葛ヶ原の陶工の家に生まれた宮川香山は、 1970(明治3)年に輸出用陶磁器の制作の為に横浜に移住。 以降、香山のつくりだすリアルな彫刻を施した高浮彫をはじめとする作品は、 国内外の主要な博覧会や展覧会で受賞を重ね世界各地で絶賛されました。
(チラシ中面より)

世界を驚かせた「眞葛焼」ですが、香山没後、二代、三代に引き継がれましたが、
1945(昭和20)年5月の横浜大空襲で窯が破壊され、家族・従業員の多くが戦死。
戦後、四代香山によって復興が試みられるも、1959(昭和34)年の四代死去によって
80余年におよぶ眞葛焼の歴史はその幕を閉じました。
そして、作品のほとんどは海外に売られ、
日本国内に残された作品はごくわずかだったことから、眞葛焼は
「幻の焼き物」となり、香山の存在は忘れられていったそう。

近年、個人コレクターたちの努力によって海外から里帰りする作品が増え、
再評価の動きが急速に進んでいるとのこと。(リーフレットより)

ゴテゴテして趣味じゃない‥‥って思っていたんですが、
やはりこれだけの精巧で緻密で大きな作品を見せられると、
すごい!!と感心して見入ってしまいます。

鷹の羽の繊細な表現、ゴツゴツした岩や、からまっている植物、
そして、壺に描かれた文様のなんと細かく美しいこと!!

1877(明治10)年、殖産興業政策を推し進めるために開催された
第一回内国勧業博覧会に出品された香山の壺は、
明治天皇が思わず手を触れて鑑賞したほどだったそう。

1881(明治14)年の第二回内国勧業博覧会に出品された
渡り蟹の鉢《褐釉蟹貼付台付鉢》は迫力でした。
東京国立博物館蔵で、重要文化財になっているものだそう。
(6月28日(日)までの展示)

高浮彫で世界を驚かせた香山ですが、1882(明治15)年頃から
釉薬の下に絵を描く技法「釉下彩」の研究に没頭するようになったそう。

これは、外国人の趣味がだんだん濃厚に飽きて、清楚でシンプルな陶器が
次第に好まれるようになってきていた時代のニーズに合わせて表現を変えたと。

そうして作られた釉下彩の作品は、ガラスのような質感にも見える
光沢のあるツルリとした表面の下に繊細な絵が描かれていて、
高浮彫の作品とは真逆と言ってもいいような表現で驚きます。

そして最晩年の作品《琅玕釉蟹付花瓶》
小さな蟹が花瓶のふちによじのぼってきたかのような、
渋い作品で、高浮彫なのにゴテゴテしてなくていいなぁーと。

宮川香山について初めて知って、その超絶技巧に驚きましたが、
この展覧会「宮川香山とアール・ヌーヴォー」って副題で、
宮川香山の作品と、エミール・ガレやラリックのガラス作品も
一緒に展示されているんです。

アール・ヌーヴォーを代表するガラス作家・エミール・ガレ、
私も大好きな作家ですが、宮川香山の高浮彫の作品と並ぶと、
なんと似ていることかと!

ルネ・ラリックの魚とあぶく模様の青い大きな皿《ロスコフ》
気に入りました!(成田美術館蔵だそう)

そして、明治時代、ヤマザキマザック美術館があるあたりは、
輸出向け陶磁器産業の中心地だったと。
現在の株式会社ノリタケカンパニーリミテドをつくった「森村組」の
デザイン画帖と製品が展示されていました。
「金点盛」と言われる凸模様に金を塗りかぶせた豪華な装飾と
アール・ヌーヴォー風の優美な曲線が素敵です。
これらの陶磁器も「世界に挑んだ明治の美」なんでしょうね。

さすがヤマザキマザック美術館、パリッシーや、宮川香山を知って、
大好きなエミール・ガレやラリックについても新しい側面を見たようで、
とても良かったです。

そしてもちろん、私の大好きなロココ部屋、堪能してきました。
(この部屋、写真OKなんですよー!!)

正面に展示されているのは、ロココを代表する画家・ヴァトーの作品
《夏の木陰》
2015-6-14-(5).jpg

この部屋が素敵!! ヤマザキマザック美術館を代表する
フランソワ・ブーシェの大きな作品《アウロラとケファロス》をはじめ、
2015-6-14-(6).jpg

ナティエ、ラルジリエール、ルブラン、ドラクロアなどが並びます。
2015-6-14-(8).jpg

この部屋で5月22日(金)に「クラシックバレエの夕べ」が開かれたんですって?!
うわー!なんて素敵!行きたかったなぁ!!
ballet.jpg
(中日新聞2015年5月24日(土)朝刊の記事)


ヤマザキマザック美術館のHP: http://www.mazak-art.com

過去記事
ヤマザキマザック美術館: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-01-24
ヤマザキマザック美術館「ロココの雅」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2011-08-28
ヤマザキマザック美術館「エマイユの煌き」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-08-09
ヤマザキマザック美術館「フランスの美しい風景」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-05-29
ヤマザキマザック美術館「森の夢」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-07-28
ヤマザキマザック美術館「動く絵」展: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-06
ヤマザキマザック美術館「ポール・デルヴォーとベルギー近代絵画」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-09-10
ヤマザキマザック美術館「名古屋ひつじ物語」: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-01-15

愛知県美術館「片岡球子」展

$
0
0

6月14日(日)、ヤマザキマザック美術館へ行った後で、
愛知県美術館へ行きました。

「生誕110年 片岡球子展」をやっています。
KataokaTamako.jpg

ただ、この展覧会、私は愛知県美術館の友の会会員なので、
無料で見られるのでなかったら行かなかったかも。

片岡球子(1905-2008)の迫力ある日本画は大好きだけど、
2009年4月に、松坂屋美術館で開催された「片岡球子展」で、
チラシに載っている作品のほとんどは見てるからです。

松坂屋美術館「片岡球子展」の感想はこちら:
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-04-11

チラシ裏面2段目《面構 浮世絵師歌川国芳と浮世絵研究家鈴木重三先生》と、
一番下の裸婦《ポーズ2》は松坂屋美術館では出てなかったけど。

あら片岡球子展やったばかりなのに、って
思ったら、あれからもう6年ですか。

見てきて、やっぱり6年前に松坂屋美術館で見た作品が多いなと。
初期の《枇杷》《学ぶ子等》《炬燵》《祈祷の僧》《緑陰》
(《緑陰》は7月5日(日)迄の前期のみ展示)

そして《カンナ》《飼育》《初夏》‥‥と、まぁ代表作を展示すれば
これらの作品は外すことのできない作品なんでしょうが。

片岡球子の作品のインパクトが強い分「あ、この作品見た」って
印象になるんでしょうね。ちょっと「飽きた」ってのは言い過ぎですが。

そのせいなのか、会期始まったばかりだからか、ちょっと遅い時間だったからか、
片岡球子、人気あると思ったけど、思ったより空いていました。

今回目新しかったのは、片岡球子が渡欧した時のメモ書きのような
スケッチ?が展示されていたこと。昭和37年ですかー。

スケッチの展示が多くて興味深いなって見てきたけど、
松坂屋美術館での図録見たら、結構載っていました。
私が覚えていないだけか?

スケッチって、わりと写実的に描いて、それからデフォルメして本画にする
みたいなイメージがあるけど、片岡球子はスケッチの段階からハジケていて、
面白いなと。
偏執狂的に描き込んだ着物の柄なども、その時代の衣装の文様を
ちゃんとスケッチして描いているんだと。

そして晩年に取り組んだ裸婦の作品も結構展示されていましたが、
うーん、私はあまり裸婦の絵は好きじゃないなぁ‥‥。

コレクション展では、展示室4が、片岡球子展にちなんで、
球子が所属した日本美術院の画家たちの作品が並んでいました。

最初に展示されていたのが小茂田青樹(おもだ せいじゅ)《柿》
あ、この日の日曜美術館アートシーンで取り上げていた
世田谷美術館「速水御舟とその周辺―大正期日本画の俊英たち」展で
御舟の同輩でライバルって紹介してたっけと。
世田谷美術館: http://www.setagayaartmuseum.or.jp/

現在改装工事中の豊田市美術館の作品も並んでいて豪華です。
菱田春草《鹿》
速水御舟《菊に猫》《果物》

2013年12月に豊田市美術館で、これらの作品を見たことはこちらの記事に
豊田市美術館の紅葉と高橋節郎館と常設展のこと
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-12-05

展示室5では、「月映展」の時と同じように、
クリムトの2点が並んでましたし、エルンストや、マグリットの絵に加えて、
藤田嗣治《美しいスペイン女》も展示されていました。

展示室6のプロジェクト・アーチvol.15は、
今枝大輔の作品《interlude》
うーん‥‥あまりゆっくり見ていないので、よくわからないんだけど‥‥
いくつかの映像が壁やスクリーンに映されているけど、
車窓からのとりとめのない景色が流れていくようなのとか、
ぼんやりした景色のようなのとか‥‥

展示室7が木村定三コレクションで、櫻井陽司の作品が並んでいました。
風景や建物を描いた小品が多いです。
厚塗りの油彩の艶のある画面、心に沁みるものを感じました。

そしていつも木村定三コレクションが展示されている展示室8は、
濱田樹里の巨大な(横幅16.8m)作品《時空霊 TOKIDAMA》が
壁2(3?)面にわたってドーンと展示されていました。
昨年度(2014年)の新収蔵作品だそう。
1973年生まれ。2012年に東山魁夷記念日経日本画大賞展で大賞受賞
名古屋造形大学日本画コース准教授とのこと。
片岡球子に通じるような大迫力の日本画でした。
6月28日(日)にはアーティスト・トークもあるそう。

企画展だけでなく、コレクション展も見応えのある愛知県美術館でした。

愛知県美術館: http://www-art.aac.pref.aichi.jp/

岐阜県現代陶芸美術館「きになるかたち」展

$
0
0
6月23日(火)、多治見のセラミックパークMINO内にある
岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。

「きになるかたち」展をやっています。
kininarukatachi.jpg

本展覧会では、1,700点を超える現代陶芸作品の中から、 気になって思わず見入ってしまうような魅力的な造形の作品、 見ていると何かの感覚や感情が沸き起こってくるような形の作品を展示し、 現代陶芸の多彩な魅力を紹介します。(チラシより)

この日はパートが休みで、午後からは特に予定もなかったので、
思い立って一人で出かけました。我が家から車で約1時間程で行けます。
着いたのは3時頃でした。が、ものすごく空いてました。
スタッフの人にしか会わなかったような‥‥?

え~?! なんか申し訳ないくらい。平日とはいえ‥‥
展示はすごく面白かったです。それに、この展示は全て
岐阜県現代陶芸美術館の所蔵品なので、観覧料一般330円という安さ!
(でも私は岐阜県美術館の後援会員なので無料で入れるんです)
あらためて岐阜県現代陶芸美術館のコレクションの質と量に驚きます。
kininarukatachi-2.jpg

「きになる」は「気になる」だとばかり思っていたのですが、
最初の展示コーナーは「『記』になるかたち」として、

八木一夫《頁1》1971年
開かれた本の1ページが立ち上がっています。
あ、八木一夫って、6月14日の、日曜美術館の40周年を記念した
特別アンコール放送「私と八木一夫 作家 司馬遼太郎」で、
司馬遼太郎さんが、八木一夫について熱く語っていたっけと。
‥‥ただ、私はこの作品ふーーん、ってくらいだったんですけど‥‥
制作当時(1971年)としては斬新だったのかなと。

三輪休雪《続・卑弥呼の書No.4》1992年 は迫力でした!
(チラシ裏面上段左)
その大きさもインパクトあるし、キンキラだし!!
アルファベット文字のようなものが記されてはいるけど‥‥

そして、ここの所蔵品展ではよく見ている
三島喜美代の新聞や雑誌をやきもので作った作品と、
レモンやバナナの段ボール箱をやきもので作った
《サンキスボックス》《バナナボックス》も展示されていました。
(あれ、レモンの箱、「サンキスト」じゃなくて「サンキス」なんだ)

そして「『生』になるかたち」
3月に見に来た「世界とつながる本当の方法」展の所蔵作品展の方で
展示されていて、すごくいいなと思った
杉浦康益《ひまわり3部作―うつりゆく時間(ヒマワリの朽ちた殻)》や、

田嶋悦子の作品(チラシ裏面上段左から3番目が《コヌルピア99-IX》
(「世界とつながる本当の方法」でも田嶋悦子の作品が展示されていましたね)

重松あゆみの作品が面白かった!
(チラシ表面下右―ちょっと端が切れてます―が《骨の耳'92-14》)
なんともユニークなカタチです。

そして内臓を取り出したような《Yellow Triplet》《Memory Cube》
管の中と外側がつながっているクラインの壺が組み合わさったような形?
面白ーい!!

チラシ表面左下の斎木俊秀《三つ足(フラワーベース)》は、
なんともカワイイ!! 
作品名のように、三つ足で、小さな穴は花を入れたりと
実用にもなるんでしょうが、なんともユーモラスで、
アニメのキャラクターのようなカンジも。
ツルツルの陶器ってところもいいなぁ。

「『気』になるかたち」では、

チラシ表面上に使われている中島晴美《苦闘する形態》
この作品、私は2013年の
岐阜県美術館「体感アート@県美.com」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19
で初めて見て、すごくインパクトありました。

それでこの人すごいって、江南のギャラリーで展示されているのを
たまたま知って見に行きました。
ギャラリー数寄「川浦紗季 中島晴美 土井洋佑展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-09

でも、今回この作品《苦闘する形態》を見て、
あれ?なんかちょっと汚れた?って気になってしまった。
後で所蔵作品の解説カードを見て気づいたのですが、
この《苦闘する形態》は陶器だそう。で、もう一つ
中島晴美の作品が展示されていたんですが、その
《反転しながら増殖する形態》は磁器だと。
そちらは表面がツルツルしてきれいなので、
汚れたように思ってしまったんでしょうね。

板橋廣美《白の連想1990》(チラシ裏面上左から2番目)は、
鉄板が並んだ上に置かれた白い陶磁器が、やわらかく垂れているように
見えるところが面白いなぁと。
「世界とつながる本当の方法」展でも《白の連想》というタイトルの、
白い雨粒型の陶磁器がたくさん床に置かれている作品が展示されていましたね。

第7回の円空大賞を受賞した加藤委(かとう つぷさ)の作品もありました。
ただ私、岐阜県美術館へ見に行った時も感じたんですが、
どうもこの人の作品ちょっと好きじゃないみたいです。

岐阜県美術館「第7回 円空大賞展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-19

「『器』になるかたち」では、
五味謙二《彩土器》(チラシ裏面中央)
あ、去年の秋に開催された国際陶磁器フェスティバル美濃'14の
コンペティションの陶芸部門のグランプリの作品!って。

国際陶磁器フェスティバル美濃'14
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17

国際陶磁器フェスティバル美濃'14のウェブサイト
http://www.icfmino.com/
(バーチャル展覧会のページで、入賞・入選作品の全てが
 画像付で見られますよ!)

吉村敏治《KOCHIKU》は、デザイン部門のグランプリ作品ですね。
(チラシ裏面下左)

神田樹里《志向》(チラシ裏面下右)は陶芸部門の金賞受賞作
(ただこの作品は私はあまり印象に残ってなかったんですが)

ピナル・ギャンシュ(トルコ)《シンドリカル》は
コンペティション会場で見て、この細い紐づくりの円筒形すごいなーって
印象に残った作品でした。

「『器』になるかたち」ってことで、
加藤孝造《瀬戸黒茶碗》や、
樂吉左衛門《焼貫黒茶碗「層冰峨峨」》も展示されていましたが、
‥‥どうも私はこういうフツー(?)の焼き物の見方がよくわからないんですよね。
現代陶芸は彫刻みたいにカタチが面白いーとかって楽しいんですけど。

でも、林恭助《曜変天目茶碗》は内側の漆黒に玉虫色の輝きがキラキラと
きれいだなーって見ました。

酒井博司《藍色志野花器》この志野の地肌と色いいなー。
この人の作品、ショップでも売られていて、湯呑7,000円ってのには、
ちょっとグラっときましたが。

「『起』になるかたち」
林茂樹《Q.P》が、面白いなーと。
宇宙服を着た赤ちゃんが3体並んでいます。
ツルツルの陶磁器でできた宇宙服の質感と、
赤ちゃんの顔の人肌のような質感には見入ってしまいました。
岐阜県現代陶芸美術館 収蔵品データベースの解説によると、
http://jmapps.ne.jp/momca/
幼児の肌は19世紀のアンティーク・ドールであるビスクドールの技法を参照した無釉の磁器の焼き締めで、 視覚的には人肌に近い質感をもっている。
この3体、同じだよね?
1972年生まれの林茂樹は「正確な形態の追求と量産が可能な石膏型に林は魅力を感じ現在まで鋳込みによる制作を続けている。

小塩薫《痕跡からの結晶―泡の靴》(チラシ表面下中)
「世界とつながる本当の方法」展の所蔵作品展で、
陶でできた帽子が展示されていた人だ。

カティ・トゥオミネン=ニイットゥラ《雨の中で》
大きな陶器のくぼみに水が張られています。
岐阜県美術館蔵の小清水漸の《作業台》を思い出しました。

ギャラリーⅡでは「リトルガーデン」展をやっています。
LittleGarden.jpg

花フェスタ2015ぎふ連携事業とのことで、ほとんどが所蔵作品展。
LittleGarden-2.jpg

最初にマイセンのかわいらしい陶磁器人形《庭師の少年少女》

ロイヤル コペンハーゲン《フローラダニカ》
草花の絵付けの洋食器(チラシ裏面下左)

洋食器の絵付けに花のモチーフは定番ですよね。

マイセン《花果実飾壺》(チラシ裏面中段右)は、
うーん、この装飾過多はちょっと日本人の感性にはないな‥‥と
この間見てきた、
ヤマザキマザック美術館「世界に挑んだ明治の美」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-06-16

宮川香山が高浮彫の作品を作ったのは、こういう西欧の陶器を
見たからなのかなと。

「きになるかたち」展のアンケートに答えてもらったポストカード
(アンケートに答えてくると抽選でプレゼントが当たるんですよー!)
マイセン《クロッカス模様テーブルセット》
1896-1906制作だそうですが、この抽象化模様がなかなかモダンだなと。
LittleGarden-3.jpg

二階には、滝口和男の器がまとまって展示されていました。
タイトルが詩的ですね。
《春うらら》《ロワールの記憶》《夜の王者か》《移り行く散歩のかたち》‥‥
どれがどういう作品だったのかは忘れてしまったけど(^^;;)

最後の展示スペースにあった
川口淳《色絵近彩楽園文磁器・夢の日記の器たち》1999年 が、
遊園地のような楽しい模様で良かった!

「きになるかたち」展で《記憶の断片(Ⅰ)(Ⅱ)》って作品が
川口淳だと気づいて、え?!全然イメージ違うじゃん!って驚いたんですが。

今回もいろんな陶磁器を見て楽しい時間を過ごさせてもらいました。
(あ、アンケートで、来館は、2回以上5回未満ってとこに○つけたけど、
今回で6回目でした。)
「きになるかたち」展は8月30日(日)まで、
「リトルガーデン」展は7月5日(日)までやってますよー。

岐阜県現代陶芸美術館: http://www.cpm-gifu.jp/museum/

現代陶芸美術館の過去記事
岐阜県現代陶芸美術館「世界とつながる本当の方法」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-03-20

国際陶磁器フェスティバル美濃'14
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17

岐阜県現代陶芸美術館「大織部展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-10-15

岐阜県現代陶芸美術館「フランス印象派の陶磁器」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-08-30

岐阜県現代陶芸美術館「ラテン!」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-06-18-1

岐阜県現代陶芸美術館「デミタス コスモス」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-06-18

岐阜県現代陶芸美術館「陶芸の魅力×アートのドキドキ」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-07-09

我が家のピエールドゥロンサールが返り咲きしました

$
0
0

一季咲きかと思っていたピエールドゥロンサール
(品種の説明には「返り咲き」ってありますが)
去年に続いて、今年も返り咲きしました。
(6月29日撮影)
2015-6-29-(4).jpg
(壁の傷みはスルーしてくださいね)
2015-6-29-(3).jpg
2015-6-29-(2).jpg

まぁ、5月初旬に咲いた時に比べれば、花数は少ないかな?
(5月9日撮影)
2015-5-9-(2).jpg
(今年の我が家のバラを紹介した記事にも使った写真です)
ウチの子(バラ)自慢 2015
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-05-23

なので、母の日にも、父の日にも、
ピエールドゥロンサールの花束がプレゼントできました。
2015-5-11-(9).jpg
母の日プレゼントのアレンジメント
(父の日のは写真撮るの忘れちゃったー)

この後、新芽が伸びてきたなと思ったら(6月7日撮影)
2015-6-7-(6).jpg

(6月16日撮影)
2015-6-16-(6).jpg

返り咲きの花が咲き始めました(6月20日撮影)
2015-6-20-(9).jpg

(6月21日撮影)
2015-6-21s-(1).jpg
ピエールドゥロンサール
何度も書いていますが、2006年にバラの栄誉殿堂入りをした、
つるバラとしては多分今一番人気がある品種でしょうね。
ネットで検索すれば、たくさんの方が壁やフェンスなどに
豪華に優美に咲かせている画像を見ることができます。

コロンとしたロマンチックな花がたくさん咲くところがたまりません。
2015-6-21s-(3).jpg

我が家のピエールドゥロンサールは、
2012年春に近くのホームセンターで買ってきて
我が家の新しいバラ ピエール・ドゥ・ロンサール
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-07-03

2013年春には、それはそれは豪華に咲いてくれたんです
2013.5.18i-002.jpg
ウチの子(バラ)自慢 2013 ピエールドゥロンサール
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-05-20

なので、その冬にはちゃんと植替えをして、
剪定・誘引をしたんですが、
ピエールドゥロンサールの植替えと誘引
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26

ちゃんと手入れをして花を楽しみにしていたのに‥‥
2014年はイマイチ豪華に咲いてくれなかったんですよねー
(2014年5月10日撮影)
2014-5-10-(6).jpg
前年の豪華な咲きっぷりを知っているだけに、
えー?!これは私の剪定が良くなかったのかなぁ??と。

そうしたら返り咲きしたので、まぁ、おトク感(?)はあったんですが‥‥
(2014年6月30日撮影)
2014-6-30-(2).jpg

で、この冬には何も手入れができてないんですが、
前年よりは5月の花つきはいいような気が‥‥

このピエールドゥロンサールの写真を加工して、
Tシャツのデザインをしてみました。

DESIGN GARDEN
バラ-ピエールドゥロンサール
2,160円
バラ-ピエールドゥロンサール
Tシャツ・iPhoneケースの通販
デザインガーデン

PierredeRonsard.gif

リースにデザインしたら、どこかのデパートの包装紙のようになりましたが。
ハハハ‥‥
DESIGN GARDEN
バラ-ピエールドゥロンサール-リース
2,160円
バラ-ピエールドゥロンサール-リース
Tシャツ・iPhoneケースの通販
デザインガーデン

PierredeRonsard3.gif


岐阜県美術館「日韓近代美術家のまなざし」展

$
0
0

7月9日(木)、パートが休みだったので、この日から始まった
岐阜県美術館の
「日韓近代美術家のまなざし―『朝鮮』で描く」展を見てきました。
Korean&Japanese-1.jpg

岐阜県美術館の後援会員になっているので、年会費3,000円で、
全ての企画展が一度ずつ無料で見られるのです。
(さらに岐阜県現代陶芸美術館の企画展も一度ずつ見られるんですよ!)

前回の企画展「てくてく現代美術世界一周」展へ行ったのが3月8日(日)
(とても楽しかった。感想はこちら↓)
岐阜県美術館「てくてく現代美術世界一周」展 その1
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-03-12
岐阜県美術館「てくてく現代美術世界一周」展 その2
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-03-14

久しぶりの企画展なので楽しみにしていました。
ま、日韓関係が微妙なこの時期に‥‥って気もしたんですけどね。

私は韓国好きですよ。実は昔、ハングル勉強していたことがあるんです。
いいえ「冬ソナ」がブームになる前です。
その頃は、韓国語を習っているというと
「なぜ韓国語『なんか』習うの?」って聞かれたものです。
つくづく「冬ソナ」とヨン様は偉大だと思いますね。

私が韓国語を習い始めたのは、ハングルが面白かったのと、
韓国語と日本語ってとても似ているなーって驚いたから。
韓国の風俗も日本と似ているようで違っていたり、そんなところも
面白いなぁと魅力だったんです。が、私のようにミーハーで習い始めても、
韓国併合、植民地支配、抗日運動‥‥両国の「不幸な過去」ってのが
わかってきて、近くて似ているだけに、近親憎悪的な?
なかなかデリケートなところがありますよね。

この展覧会も、タイトルの「朝鮮」にカッコがついているのは、
日本統治時代を「朝鮮」と呼ぶか「韓国」と呼ぶかで問題となり、
20世紀前半期の視点から、あるいは日本人の視点から叙述する場合は「朝鮮」と表記し、 その際に限り鍵括弧で括っている。(図録より)とのこと。

でも、9日(木)せっかくの休みだから、少し遠い美術館でもいいかなとか
考えてたんです。岐阜県美術館ならパートがある日でも行けるし。
だけど私のことだから、ズルズルと過ごして、昼を過ぎて、
これでは岐阜県美術館以外は行けないなーと思いながら、
さらに時間は過ぎて、家を出たのが3時過ぎ (^▽^;)ゞ
美術館に着いたのは4時近くになっていました。
岐阜県美術館は6時まで開館してくれているので、
私のようなものにはありがたいんですけどね。
(入場は5時30分まで)

建物に入るとエントランスホールにはポジャギが飾られていました。
韓国のパッチワーク、薄い透ける布が上品できれいです。

そしてエントランスホールの中央にはドーンと机が!
館長の机だそう。今年4月から日比野克彦氏が館長になられたんですよね。
美術館への意見を書いて投函できるようになっていました。

企画展の入口は、いつもは所蔵品展の出口のところ。
入ると、益田玉城(ますだ ぎょくじょう)1881-1955《笛の音》1920年
民族服の少年が笛を吹いている優雅な絵

長谷川路可(はせがわ ろか)1897-1967《清韻》1940年
琴を弾く女性と年配の女性が端正に描かれています。
琴の稽古中の妓生(キーセン)とその指導役の女性を描いたものだろうと。

土田麦僊(つちだ ばくせん)1887-1936《平牀》1933年
低いベンチに坐るチマチョゴリ姿の女性と傍らに立つ女性
下図も展示されていて興味深かった。

この3点、とても私の好みの優美で端正な絵でよかった。

そしてチラシ表面に使われている
藤島武二(ふじしま たけじ)1867-1943《花籠》1913年
女性の頬の色使いがちょっと傷のようにも見えてしまうんだけど‥‥

‥‥と、「朝鮮」と聞いてすぐ思い浮かぶ民族衣装の女性の絵が
並んでいます。

絵の説明板をよく見ると、色のラインで、
「朝鮮」に旅行・短期滞在した日本人美術家、
「朝鮮」に住んでいた日本人美術家、
そして、韓国人美術家、と分けられていました。
(色のない「その他(滞在経験なし等)」もありましたが)

そして「朝鮮」の景勝地・金剛山の絵。

このあたり、韓国へ旅した日本人画家が、異国情緒あふれる
モチーフを描いたってカンジですね。
日本に来た外国人が「フジヤマ、ゲイシャ」って言うとこですか。

でも、ここで終わらないのがこの展覧会のすごいところ。
いつもの企画展示室はもちろん、所蔵作品展室の一部と、
新しくできた広い展示室2(いつもは所蔵作品―それも現代美術っぽいの―が
展示されていることが多い)も使ってのすごい展示数でした。
(出品リストだけでも8ページ!)

でも正直に言うと、知らない作家が多いし、説明を読むのにも時間がかかって、
ちょっと疲れたかな。

Korean&Japanese-2.jpg
日本統治時代には、韓国には多くの日本人が住んでいたわけで、
美術教師として赴任したり、挿絵や漫画を描く仕事で
移住した人がいたそうです。
これまでほとんど注目されてこなかった戦前の在「朝鮮」日本人作家の作品も、 最新の研究成果をふまえてご紹介します。(チラシ裏面より)

清水東雲 生年不詳-1927
今村雲峰 生没年不詳
加藤松林人 1898-1983
らは「朝鮮」の風俗を描いた絵葉書をたくさん制作したそう。
こういった絵葉書は、郷愁をさそう「朝鮮」のイメージとして
多く日本人に消費されたそう。旅行の記念品みたいなものかな。

安藤義茂 1888-1967 《泥亀売りの女》1927年
って作品が迫力があってよかった。

韓国生まれの日本人美術家も知りました。
入江一子1916- 
大邱に生まれ、1934年女子美術専門学校(現・女子美術大学)入学のため
初来日した時の日本の印象は「箱庭のよう」だったそう。
《松根油をつくる朝鮮のひとびと》1945年、色づかいがきれいだなと見ました。
戦後はシルクロードを旅して描いていらっしゃるそうですね。

山口長男(やまぐち たけお)1902-1983
私にはうーん?って抽象画ですが《庭》1937年制作にしては
斬新な表現じゃないですか?
さすが「1927年に東京美術学校を卒業して、1931年までパリに留学」って。

そして、韓国の美術家たち

1922年朝鮮総督府の主催による第1回朝鮮美術展覧会が「京城」で開かれ、
以降1944年まで計23回実施されたそう。
日本の帝展をモデルとするこの展覧会は「官展」として社会的に大きな
影響力をもったとのこと。もちろん在野の活動もいろいろ展開されたそうですが。

「朝鮮」には官設の美術学校はなく、美術を志す者は、
東京美術学校(現・東京藝術大学)へ留学したと。

韓国の美術家って私知らないなぁ‥‥ヴィデオ作家のナム・ジュン・パイクくらい。
あ、李禹煥(リ・ウーファン)は韓国?日本?今や世界的に活躍されてますね。

なので、チラシ裏面に
高羲東(コ・フィドン)や李仁星(イ・インソン)、李快大(イ・クェデ)、李仲燮(イ・ジュンソプ)ら、日本との交流をもつ韓国近代美術の巨匠たち。
っていう作家、全く知りませんでした。

2015-7-9-(7).jpg
岐阜県美術館の門のところにも使われている、民族衣装の男性像が
高羲東(コ・フィドン)1886-1965
《程子冠(チョンジャクアン)をかぶる自画像》1915年
この作品、東京藝術大学蔵で、東京美術学校の卒業制作と言われているそう。

李仁星(イ・インソン)1912-1950は
《黄色いワンピースの婦人像》って水彩の作品が展示されていました。
モダンで都会的な作風だなと。
「朝鮮戦争中に警察ともめごとが起こり、流れ弾に当たり死亡」とのこと。

李仲燮(イ・ジュンソプ)1916-1956
この画家と妻を扱った映画(ドキュメンタリー)
「ふたつの祖国、ひとつの愛―イ・ジュンソプの妻―」
7月18日(土)14:00~岐阜県美術館で無料公開されるってことだったので、
見たかったけど、やはりパートがあって行けませんでした。
LeeJoongseop.jpg

奥さんは日本人・山本方子(まさこ)三井財閥企業の役員を父に持つ令嬢
(え!? 現在もご存命でこの映画に出演していらっしゃるの!?)
 アジアの芸術家として初めてニューヨーク近代美術館(MoMA)に作品が収蔵され、遺された絵画は今や億の値がつく画家、イ・ジュンソプ。韓国では知らぬ者はいないジュンソプは、生前キャンパスも買えないほど貧しく、39歳で生きを引き取った。(映画のチラシ裏面より)
LeeJoongseop2.jpg

へー。でも展示されていたイ・ジュンソプの絵は、私には
「‥‥うーん??なんじゃこりゃ」ってカンジだったんですけど‥‥
《夫婦》1953年(展覧会のチラシ裏面上段中)

展覧会の図録の表紙に使われている《旅立つ家族》って絵は、
岐阜県美術館では展示されていませんでした。
Korean&Japanese-3.jpg

私がこの展覧会でいいなって見た絵は、
何と言っても、山口蓬春1893-1971《市場》1932年
市場の白い天幕が画面を区切っていて、その間に見える市場のにぎわい、
後方の家の黒い屋根と、構図がすごく面白かった!
(この絵、岐阜県美術館の前期と、北海道立近代美術館の半期のみの展示なんですって?!
見られてラッキー!!)
小下図やスケッチブック等も併せて展示してあって興味深かったです。

岐阜県美術館の所蔵作品展で何回か見ている
長谷川朝風1901-1977《朝鮮三題 四温(草稿)1940年》
市場を描いた洒脱で軽妙な絵でいいなと。
長谷川朝風、岐阜県生まれなんですね。兄を訪ねて何度も
「朝鮮」へ渡っているそう。「飯田蛇笏に俳句を学ぶ」
あ、いかにも俳人でもあった人の絵らしい!

吉田博1876-1950《大同門》1936年頃は、
懐かしさを感じる詩情あふれる風景の木版画で良かった。

そしてやはり、その人生も含めて、この展覧会で一番インパクトあったのが、
曺良奎(チョ・ヤンギュ)1928-没年不詳 《農夫と牛》1957年
Korean&Japanese-5.jpg
(図録左下)
厚塗りの、とても迫力のある絵だなって見て、説明文を読むと、
慶尚南道晋州(キョンサンナムド チンジュ、現・晋州市)郡に生まれる。1946年、晋州師範学校卒業。南朝鮮労働党の活動に傾倒したため官憲に追われ釜山に向かい、1948年に日本に密航。倉庫で働きながら武蔵野美術学校(現・武蔵野美術大学)に通うが、1952年に中退。日本アンデパンダン展や自由美術家協会展に出品し、1953年にはタケミヤ画廊で初個展。1955年、自由美術館協会会員となる。1958年安井賞候補新人展に出品。1959年村松画廊で2回目個展。1960年、新潟港から北送船で北朝鮮に渡る。1967年まで日本向け雑誌に挿絵を手がけたが、以後消息不明。(図録より)
‥‥!!!
曺良奎の絵は最後のコーナーでも5点まとまって展示されていましたが、
社会から抑圧された怒りや哀しみのようなものが迫ってくるような‥‥
私はベン・シャーンの絵に似てるなって見ました。

そして、最後のコーナーに展示されていた
全和凰(チョン・ファファン)1909-1993《ある日の夢(銃殺)》1950年
十字架に磔にされて銃殺される人、絞首される人が、悪夢の中のような
おぼろげな暗い中に描かれています。
「1919年『朝鮮』での三・一独立運動と1950年6月25日に勃発した
朝鮮戦争とが二重のイメージをつくっていると思われる」と。
‥‥もう、こんな悪夢を見るようなことが起こりませんように。

正直、かなり見るのに疲れた展覧会でした。が、日韓の困難な時代に生きた、
今まであまり注目されてこなかった画家や、私の知らない韓国の画家について
知ることができて、日韓関係が微妙な今の時期だからこそ、意義のある
展覧会だと思います。この展覧会は2009年に美術館連絡協議会に企画が提案され、
日韓の研究者との共同研究によって実現されたものだそう。

また図録が分厚くて素晴らしい!!(図録が自立?します)
Korean&Japanese-4.jpg
これ見たら、あんなに展示作品あったのに、まだ展示されていない作品や、
展示替えのある作品もありました。
作品や人物の解説も詳しくて読み応えあります。
日本語とハングルで表記されているので、韓国語を学ぶ人にもいいかも。
2,400円が後援会員割引で2,200円になりました。


この展覧会、
神奈川県立近代美術館 葉山 2015年4月4日(土)~5月8日(金)
新潟県立万代島美術館 5月16日(土)~6月28日(日)
と巡回してきて、

岐阜県美術館は、7月9日(木)~8月23日(日)

その後、
北海道立近代美術館 9月1日(火)~10月12日(月・祝)
都城市立美術館 10月23日(金)~12月6日(日)
福岡アジア美術館 12月17日(木)~2016年2月2日(火)
と、巡回する予定だそう。

岐阜県美術館: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/

「ふたつの祖国、ひとつの愛―イ・ジュンソプの妻―」公式ウェブサイト:
http://www.u-picc.com/Joongseopswife/

展覧会見てから、ブログに感想をアップするのに2週間もかかってしまいました。
夏風邪をひいてあまり体調がよくなかったのもありますが、
図録を読んでいると(展覧会では後半疲れてきて説明文をしっかり読んでないので)
わかってきたこと、考えさせられたこともあり、
あらためて、すごい展覧会だったなと感心しています。

オマケ:
もう存在も忘れていた昔~の私のホームページ
志津子のホームページ」←まだあったんだー!
海外旅行のトップページはこちら:
http://www002.upp.so-net.ne.jp/shizuko/Travel.html
1998年秋に韓国の蔚山・慶州へ行ったことと、
2000年5月にソウルへ行ったことを載せてました。

ぎふメディアコスモス「みんなのアート」展

$
0
0

7月30日(木)、岐阜市の大学病病院跡地に7月18日(土)にオープンした
岐阜市の図書館複合施設「ぎふメディアコスモス」へ行ってきました。
2015-7-30-(92).jpg
2015-7-30-(93).jpg

この日はパートが休みで、所要で岐阜市中心部まで出かけたので、
図書館だけでなく、ギャラリーもあるのね、ついでに見て来ようって
くらいの軽い気持ちだったんですよ。このチラシは見てたんですが、
gifumediacosmos.jpg

あぁ、今注目されているアール・ブリュットね、ってくらいだったんです。
でも、見たらものすごく良かった!!
日比野克彦さんの音声ガイドがすごくわかりやすかったし!

副題が「それぞれのらしさ」
アートの特性は「同じじゃない」という価値観を持っているところ。ひとつの答えを追い求めるのではなく、 それぞれに魅力があるという思考がアートの基本理念だと考えます。
アートになり得るものは日常の中にあるのです。」(チラシ裏面の文章)
gifumediacosmos2.jpg

‥‥うんうん、「みんなちがって、みんないい(金子みすゞ)」ね。
そっかー、それがアートなのね。

写真撮影OKだったので、いっぱい撮ってきました。

ギャラリー前のホワイエ
ダンボールでできた船が吊り下がっています。
2015-7-30-(98).jpg

あ、2006年の岐阜県美術館「日比野克彦応答せよ!!」展にも
こんな船が置いてあったっけ。
2006年ドイツで開催されたサッカーワールドカップの応援として、
ワールドカップ・アジア予選に参加した国々をそれぞれイメージした
ダンボール製の船を作るという日比野克彦さんが監修して大宰府で
行われたワークショップ「アジア代表日本」で作られたものだそう。
4艘はそれぞれ「スリランカ」「ウズベキスタン」「イラク」「台湾」
だそうですが‥‥
2015-7-30-(100).jpg

「みんなのアート」の文字が竹細工でできていていいカンジ!
2015-7-30-(134).jpg

入口正面の壁の天井近くまで一面に張られている家の絵 50枚
クレパス等で力強く描かれていて、それぞれとてもカラフル!
ひたすら《家》の絵ばかり―1,000枚も!―描いていたという
「みずのき絵画教室」堀田哲明さんの作品
2015-7-30-(101).jpg

展示の最初に飾られている「みずのき絵画教室」小笹逸男さんの作品
《しまうま》《蛙》《私の友達》《猫》等
しまうまも蛙も猫も、なんて面白いんでしょう!
2015-7-30-(103).jpg

木炭で描かれたモノクロの画面、ちょっとドキッとします。
「みずのき絵画教室」古川敏明さんの作品
2015-7-30-(104).jpg

カラフルなウルトラマン!
作者の「みずのき絵画教室」山本悟さんは、もちろん大の
ウルトラマン好き。そんなウルトラマン愛が伝わってくるような
見ていると楽しくなってくる大きな作品です。
2015-7-30-(105).jpg

これは何のオブジェクト?
小石などにひたすらテープを巻き付けていってできた形だそう。
「Studio Ashi」梅木鉄平さんの造形
2015-7-30-(108).jpg

これは驚きます!紙を切ってあるんですが、その細さといったら!!
まるで布の端のほつれた糸のよう!!
熊本の藤岡祐機さんの作品
2015-7-30-(109).jpg

その前の壁一面に展示してあった切り紙作品は、
藤岡祐機さんの子供の頃の作品
2015-7-30-(114).jpg

「クラフト工房LaMano」平野智之さんの作品
平野さんは靴のことを「土足」と呼んで、ひたすら「土足」の絵を描いています。
2015-7-31-(1).jpg

大きくなった美保さん(介護施設の職員)が、
中部国際空港に飛び込んだというストーリーで、靴が空港施設の中に現れたり、
靴と、そこから見える風景とが対になった絵とか、
2015-7-30-(112).jpg

トラックになった「土足」はいろんなものを牽引して走ります。
アニメーションみたいで面白いー。
2015-7-30-(110).jpg

あ、これは岐阜の街で毎年行われているフラッグアートの作品ですね。
公募部門と学校単位で参加する部門があって、これらは養護学級の作品だそう。
2015-7-30-(116).jpg

ドーンと大きなこの作品、岐阜市加納にある竹細工の武山商店の
店頭に飾られていたものだそう。
武山商店の武山定夫さんは、竹の骨組の上に紙を貼った
交通安全の節分の鬼や子供神輿のキャラクターなど、
いろんな竹の人形を作っているそう。
2015-7-30-(122).jpg

東濃特別支援学校高等部1年の安保瑛太さんの作品
幼少の頃から回転するものが好きで、じーっと観察し、記憶して、
その記憶を頼りに正確に対象を描いていくそう。
2015-7-30-(119).jpg

岐阜県高山市の原田正則さんの作品は、とても細かく描き込まれていて
すごい! 見ていて飽きません。
2015-7-30-(120).jpg

いちばん右が岐阜県羽島市の山田真己(やまだ まき)さんの作品。
最新号(2015年6月25日発行)の
岐阜まちなか再発見フリーマガジンa un(あ うん)」にも紹介されていましたが
Webページはこちら: http://aun-web.com/art/16420.html
脳性マヒによる四肢機能の著障 (中略) 寝たままの状態で鏡越しに画用紙を見つつ、 筆やクレパスを固定した足や、指先やかかとも使って描く。
8月2日(日)まで岐阜公園内の加藤栄三・東一記念美術館にて「山田真己展」が
開催されていたそう。
私は、2014年2月に、岐阜シティ・タワー43の1階アトリウムでやっていた
「見たい見せたい美術展」で山田真己さんの作品を見たことがあります。
2015-7-30-(121).jpg
左の3点は岐阜県大垣市の西脇秀威さんの作品。

そして「こんなものも展示してるんだ!」ってビックリしたのがこちら
作者は「カラス」!!
2015-7-30-(124).jpg
ホンモノのカラスの巣だそう。
一番下にワイヤーハンガーを使い、小枝を組み合わせ、卵の周囲には棕櫚の毛(?)を
使って、とても快適そうに仕上がっています。
こんな作り方をカラスはどこで覚えたんでしょう?

その隣には岐阜のナカダクラフトの金型。
岐阜金属加工の技術は世界のトップクラスだそう。
2015-7-30-(125).jpg

そして、石田さん(お母さん)の洋服の型紙も額に入れて展示してありました。
2人の男の子それぞれのために、型紙をアレンジしていると。
2015-7-30-(126).jpg

部屋の真ん中には大きな石が積み重なっています。
作者は「長良川」!!
長い年月の中で川の流れに削られて、角が丸い石ができたと。
「どうぞ座ってください」ってことだったので、腰かけて休んでみました。
2015-7-30-(131).jpg

女性が機関銃を持っている?って見たら、
機関銃と見えたのは野菜や魚介類などの食べ物。
写真を撮ったあと、機関銃と見えた野菜類を料理して食べるまでが、
現代アート作家・小沢剛さんの作品だそう。2015-7-30-(127).jpg

あ、これは、岐阜県美術館「体感アート@県美.com」展でも見た
鹿児島「しょうぶ学園」の「nui project+(ヌイ・プロジェクト)」の作品ですね。
部屋のほとんど四方の壁一面に展示されていて迫力です。
文字をステッチしてあるものや、太い糸で立体的にステッチしてあるもの、
いろんな作り手の個性のようなものも感じられます。
2015-7-30-(128).jpg

こちらのお城、左から伏見城、岐阜城、彦根城。
なんと爪楊枝でできているんですよ!
介護施設の廊下の棚に置いてあったもので、作者はわからないそう。
2015-7-30-(129).jpg

爪楊枝の形をなんと上手に使っているんでしょう!!
気が遠くなるような作業ですよね!
2015-7-30-(130).jpg

「みんなのアート」展は、ぎふメディアコスモス1階のみんなのギャラリーで
8月16日(日)まで。入場無料で(日比野克彦さんの音声ガイドも、もちろん無料!)
朝9時から夜9時までやっているという、なんともうれしい展覧会です!!!

なので(?)実は、この翌日に車椅子の母を連れて、
8月9日(日)には一人で、また見に行ってしまいました。

みんなのギャラリー前の「ドキドキテラス」
2015-7-30-(96).jpg
「平和の折り鶴」が飾られていました。
(8月9日(日)には岐阜市の姉妹都市の展示になっていました)
2015-7-30-(95).jpg

ぎふメディアコスモス。岐阜市図書館の入口は2階にあります。
2015-7-30-(136).jpg

2階の天井は木の格子でゆるやかな曲線に仕上がっています。
木(岐阜県産の東濃ヒノキ)のいい香りがしています。
ところどころにこんな電気スタンドのカバー(?)のような、
模様の違う布のグローブが下がっていて、いろんなコーナーになっています。
本棚もゆったりと配置してあって、とっても素敵な図書館です。
2015-7-30-(138).jpg

1階に天井に使われている木造格子屋根模型が展示してありました。
岐阜県産(東濃ヒノキ)の薄い木材を層状に編むことでファブリック(織物)のように 軽やかな架構がつくられています。」と。
2015-7-30-(139).jpg

建築デザインは伊藤豊雄さん。
各務原市の「瞑想の森 市営斎場」もこの方のデザインだと!
あ!そう言われれば、この屋根の曲線のカンジが似てます。

各務原市の「瞑想の森 市営斎場
「自由曲面」の屋根が優美で、外から見た建築の形もいいけど、
内部に初めて入った時、すごく感動しました。

形だけでなく、いろんな環境に配慮して設計されているそう。

市のお知らせパンフなどの前には、こんな楽しいクッションも。
2015-7-30-(140).jpg

岐阜市の国際課、多文化交流プラザ、市民活動に利用できるスタジオなども。

一角にローソンが入っているのもいいですね!

金華橋通り沿いには、こんな水路のある並木道が。
2015-7-30-(142).jpg

南側広場では、開館を記念したイベント
「音と食のコラボレーションフェスティバルBeat(ビート)」が
開催されていました。7月18日(土)~8月23日(日)
2015-7-30-(145).jpg

いろんな食べ物の屋台が並んでいて、ステージもあります。
ただ、暑いせいか(芝生からミストが時々出て、思ったより暑くなかったです)
平日だったからか、お客さんあまりいませんでしたが。
2015-7-30-(144).jpg

「生メロンソフト」食べました。
富良野産のメロンにソフトクリームがのっています。
中サイズで800円でした(大は1,000円)
2015-8-9-(5).jpg
(写真は8月9日(日)に行った時のもの)

とても素敵な場所です。岐阜市の街中にあるけど、大駐車場があるので、
各務原の我が家からも便利に行けるところもいいですね。


岐阜みんなの森 メディアコスモス」のウェブサイト:
http://g-mediacosmos.jp/

ブログ10周年

$
0
0

♪十年はひと昔~ 暑い夏(井上陽水「夏まつり」より)

このブログ「猫と花の日々」始めてから、なんと10年経ちました。

最初の記事を書いたのが2005年8月8日
blog始めてみました: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-08-09

たいした考えもなしに、blogに申し込んでしまいました。
日記を書くように、日々のとりとめのないこと――猫や花のことが中心となると思いますが――を、
書きとめておけたら‥‥と思います。
‥‥続くかな?


と、今から見ると、なんと簡単な記事!って。

‥‥続きましたねぇ。
え?もう10年経ったの!? ってカンジですが。

この10年間で、記事数は、1,027
総閲覧数の累計は、2,573,623
(2015年8月15日午前11時現在)
blog-10nen.jpg

フツーのパート主婦が、いつでも不特定多数に向けて情報を発信できる、
考えるとすごい時代になったものです。

最近は一つの記事がとても長くなっていて、なかなかアップも
できないですが、記事を書くのは楽しみで、生活の一部になっています。

2005年というと、愛知万博の年でした。
ブログでも、愛知万博に行ったことをアップしています。
(今だったら、もっと画像入れたりすると思うんですけど‥‥)

「愛・地球博」へ行った: http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2005-09-07-2

首相は小泉さんだったんですね。
郵政民営化が争点となった衆議院議員選挙で自民党が圧勝と。

そうかー、愛知万博からもう10年?!ってカンジですが、
政治ではこの10年間、民主党が政権をとって、また自民党になってと、
いろいろありましたね。
何と言っても2011年には東日本大震災があったし‥‥。


10年間のこのブログの人気記事を調べてみました。
(2015年8月13日時点での閲覧数)

第1位 29,426 ブラックベリーの育て方
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2007-06-15

「育て方」ってタイトルも良かったんでしょうね。
「我が家のブラックベリー」とかってタイトルだったら、
こんなに閲覧数はなかったかも。私のイラスト(マンガ?)も入った、
自分で言うのもナンだけど、力作記事だと思ってます。

第2位 26,845 パン食べ放題でお腹いっぱい!ルクールカフェアンティーク岐阜長良店
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-03-24

「食べログ」やネットで飲食店の情報を探したり、
飲食店の感想をネットにアップしたりってのもフツーになりましたね。
この記事、「パン食べ放題」とかって検索ワードでたどり着く方も多いみたい。
残念ながら、こちらのお店、現在は閉店したそうです。

第3位 23,162 愛知県美術館「タイムスケープ展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2008-09-18

この記事がなんでこんなにアクセス数があるのかよくわかりません。
一時期、英文のスパムコメントが毎日何十と書き込まれて、
削除に追われたことがありました。コメントの画像認証を取り入れてからは
スパムコメントはなくなりましたが。いろんな記事にスパムコメントが
書き込まれましたが、特にこの記事には多かったような気がします。
そんなスパムコメントのせいだとすると虚しいですけど。

第4位 22,236 杉本美術館
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

この記事も、え?この記事がそんなにアクセスあるの?って意外でした。
お正月に旅行気分で行ったこじんまりとした個人美術館。
あまりネットに情報がないからかなぁ?

第5位 21,356 名古屋市博物館「マリー・アントワネット物語展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-07-11

「マリー・アントワネット」って検索ワードで私のブログに来る方も多いようです。
怖い絵 マリー・アントワネット」って記事も第9位にランクインしてます。
もちろん「ベルサイユのばら」の記事も書いている「ベルばら」世代の私。
この展覧会は、ヴィジェ・ルブラン描くマリー・アントワネットの肖像が展示され、
それらの絵から再現されたマリー・アントワネットのドレスが撮影可だったりと、
とっても楽しい展覧会でした。

第6位 18,587 大人気の一宮モーニング メールネージュ
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-12-20

一時期、友人とモーニングめぐりを楽しんでいました。
(現在はコミックカフェ通いになりましたが)
岐阜や一宮では喫茶店のモーニングサービス競争が激烈なので、
とってもお得に楽しめるんです。このお店はそんな中でも人気のお店です。

第7位 18,291 KYOTO手塚治虫ワールド
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25

京都国立博物館「長谷川等伯展」に行った時、たまたま駅にあった
ここを見かけて看板等を写した(中へは入ってないんです)記事を書きました。
もうここ、今はありません。
英文のスパムコメントも多かったし、スパムかどうかわからなくて、
削除しなかったコメントも多いんです。ヘンな日本語訳っぽくなってるのとか。
海外の方がたまたま画像を見て来てるのかなぁ?

第8位 18,076 国立国際美術館「エル・グレコ」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-11-17

岐阜県美術館後援会のバス旅行で行った国立国際美術館の企画展。
研究員の方からお話をうかがうこともでき、日曜美術館でも
取り上げられていたので、エル・グレコについて知ったことを
詳しく書くことができました。

第9位 17,288 怖い絵 マリー・アントワネット
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2010-02-03

「マリー・アントワネット最後の肖像」とか「マリー・アントワネット処刑画像」
みたいな検索ワードで来て下さる方が多いようです。

第10位 16,117 私の岐阜No.1町屋カフェです。川原町屋
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-12-23

もう3年近く前にアップした記事ですが、今だに毎日のアクセスが
結構あります。ここはとても素敵な、私のお勧めの岐阜の喫茶店です。

第11位 14,784 世の中かわった。紅茶にソネット
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-03-13

「ソネット」と言っても、So-netではありません。
昔の広告について、古い資料が出てきたので面白くてアップしました。
一時期、集中してアクセスがありました。

第12位 14,706 愛知県陶磁資料館 南館「やきもの何だーランド」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-10-19-1

「アール・デコ 光のエレガンス」展を見に
愛知県陶磁資料館(現在は愛知県陶磁美術館)へ行き、
ついでにって入った南館の展示。結構充実していて、子供向けの解説が
わかりやすかったし、写真撮影OKだったので、いっぱい写真撮ってきて
記事を書きました。

第13位 13,505 松坂屋美術館「第68回 春の院展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-04-17

へー!? この記事にそんなにアクセスあるんだってちょっと意外でした。
あらためて記事読んだら、書いた私がすっかり忘れていた
展覧会に出品されていた絵や作者の名前を思い出しました。

第14位 12,534 「自家焙煎工房 茶樂」の帽子展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-04-01

これも、え?! この記事がこんなにアクセスあるの?って不思議な気がしました。
知人が近くの喫茶店で、作っている帽子の展覧会をしたという、
とってもローカルな記事なんですけど。

第15位 11,845 小山観音と川合公園
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-04-12

美濃加茂のローカルな観光地。桜の見頃には少し遅かったけど、
飛騨川ののどかな眺めがきれいでした。

第16位 11,170 我が家の新しいバラ ペッシュボンボン
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-07-05

ベランダで育てているバラのことはいくつか記事を書きました。
その中でも「デルバール」「ペッシュボンボン」って検索ワードで
来てくださる方も多いようです。

第17位 10,769 郡上八幡「福よせ雛」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-04-23

郡上八幡で春に行われている「福よせ雛」というイベント
廃棄処分されるお雛様を利用して、郡上八幡の街中で、
お雛様たちがクスッと笑ってしまう日常生活をおくっているという
とってもナイス!なイベントです。

第18位 10,409 愛知産業大学 卒業制作展 2013
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-03-10

愛知県美術館の「円山応挙展」に行こうとして、
間違って降りてしまった階でやっていた卒業制作展。
愛知産業大学にデザイン学科があるなんて知らなかったんですが、
入口から見える展示が良かったので、どれどれって、入ってみたら、
それぞれレベルの高い作品が並んでいて、
今のデザイン学科ってすごいなと感心しました。

以上が、閲覧数1万超えの記事です。

意外な記事が人気だったりして驚いたりするんですが。

そして、ずいぶん前に書いた記事に急にアクセスが上がって驚くこともありますね。
『この星のぬくもり――自閉症児のみつめる世界』
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2009-07-23

2009年に書いた記事ですが、最近電子書籍化されたようで、
ネットで広告を見るようになりました。それから急にアクセスが上がっています。

最後に、70年目の終戦記念日を迎える今日にお勧めの記事を
あすなひろし「山ゆかば!」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-08-14

一昨年書いた、あすなひろしの体験がかなり反映されていると思われる、
戦争中の子供たちを描いたマンガ「山ゆかば!」の紹介と感想の記事です。

私が戦争のない日本の中で生きてこられたのはとてもありがたいことだったと
思います。この平和が続き、好きなことをブログに書いていくことができる
生活が続きますように。これからもよろしくお願いします。

名古屋ボストン美術館「ダブル・インパクト」展

$
0
0

なかなか記事が書けませんが、8月13日(木)に行った
名古屋ボストン美術館「ダブル・インパクト」展のことを。
double-impact-1.jpg

この展覧会、ボストン美術館と東京藝術大学の所蔵作品から、
明治ニッポンが西洋文明から受けた衝撃(インパクト)と、
西洋が「不思議の国ニッポン」から受けた衝撃という
双方向の衝撃〈ダブル・インパクト〉を探る展覧会だそう。

4月4日(土)~5月17日(日)東京藝術大学美術館で開催された後、
名古屋ボストン美術館に6月6日(土)~8月30日(日)まで巡回してきました。
double-impact-3.jpg

パートが休みだった8月13日(木)、私のことなのでなかなか
出かけられなかったのですが、名古屋ボストン美術館は
平日は午後7時まで開館しているので有難いです。
入館料当日一般1,300円のところ、午後5時以降の入館料が1,100円に
なるのも嬉しいところ。

まぁ、そんなことを知っていたので、家を出たのが3時過ぎ、
金山駅に着いたのが4時半頃でした。
(交通の便がとてもいいのも有難いところです)
2015-8-13-(7).jpg
帰りに撮影

で、5時まで待つか、チラシの100円割引で入るか‥‥と迷いながら、
いつものように美術館下のボストンカフェをチェックしたら、
今回もチケットと展覧会をイメージしたケーキとドリンクのセットが
1,700円であったので、まずはそちらを食べてから!
2015-8-13-(2).jpg
タルトの上に龍のチョコレートがのっています。
ダブル・インパクト展の図録もあったので、入館前にちょっと予習(?)

美術館の3階には、これもいつものように(?)顔出し看板がありました。
(スミマセン、ボケちゃってますね)
2015-8-13-(3).jpg

その隣には明治のドレス(試着できるようなんですが)
2015-8-13-(5).jpg

4階へエスカレーターで上がり、展示室に入ると、
最初に黒船を描いた《ペルリ浦賀上陸図》ボストン美術館蔵 以下(B)

日本は黒船来航に大きな衝撃を受けて、明治維新へと進むわけですが、
作者不詳のこの黒船図、文字もたくさん書き込まれていて、
西洋文明に驚きながらも、それを学ぼうという姿勢がすでに見られます。

黒船に驚く日本の様子を蒙古襲来に重ねて描いた浮世絵や、
洋館が立ち並び、洋装の人々が行き交う浮世絵。

でも衝撃を受けたのは日本だけではなく、来日した西洋人も、
大勢が一緒の風呂に入る日本の風習に驚き、ワーグマンが描写した絵を
高橋由一が模写した《浴湯図》東京藝術大学蔵 以下(藝)

そして日本の技巧を凝らした工芸品に驚いたそう。
大きな龍の置物は、関節や胴体が自由に動く「自在」置物
高石重義《竜自在》(B)

大きな水晶玉の台は帝室技芸員の鈴木長吉作(B)

そして、これカワイイ、欲しいなーって思っちゃったのが、
身長30センチほどのガイコツ。鹿の角でできているそう。
全ての関節が人体同様に動いて、いろんなポーズができると
旭玉山《人体骨格》(藝)

この展覧会の目玉の一つでチラシ等にも使われている
河鍋暁斎《地獄太夫》(B)
着物の模様なども偏執狂的に細かく描かれていて、とても素敵!
「クールジャパン」ってカンジ。
河鍋暁斎が外国人に人気だったってのもよくわかります。

柴田是真《野菜涅槃図蒔絵盆》(B)
漆の超絶技巧と、以前日曜美術館でも取り上げられていた柴田是真。
この蒔絵盆も、超絶技巧が凝らされているんでしょうが、
そんな技巧の知識のない私にはふーーん‥‥って。

柴田是真の花をデザインした天井綴織下図(藝)は素敵!って見ました。
水墨画の《雪中鷹図》(B)もいいなと。

ヤマザキマザック美術館「エマイユの煌き」展で、
明治の七宝の超絶技巧、無線七宝の濤川惣助(なみかわ そうすけ)を
知りましたが、この展覧会にも《七宝瀟湘八景図額》(B)が展示されていました。
七宝でこういうぼかしを表現するのは難しいってのを知らないと、
「水墨画みたいな七宝」くらいで見ていっちゃいそう。

そしてヤマザキマザック美術館で8月30日(日)までやっている
「世界に挑んだ明治の美」展で、宮川香山の陶芸作品が展示されていましたが、
宮川香山の《猩々噴水》が話題を呼んだという
1881年の上野公園内国勧業第二博覧会の様子を伝える三代歌川広重の錦絵も
展示されていました。

double-impact-2.jpg
チラシ裏面(?)下に使われている明治の文明開化で洋装の女性を描いた錦絵が
揚州周延《梅園唱歌図》(B)

錦絵に描かれている明治天皇・皇后や周囲が次第に洋装になっていくのも
興味深かった。

少し前に、林真理子『ミカドの淑女(おんな)』を読んだんですが、
明治天皇の宮中がこんなに時代がかっていたとは!!って驚きました。

ミカドの淑女(おんな)

ミカドの淑女(おんな)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1990/09
  • メディア: 単行本


下田歌子をめぐるスキャンダルを、周辺の人々から見て描いた小説。
歴史で習った明治天皇や乃木希典らが生き生きと描かれていて面白かった。

そして、西洋美術を学んでいく日本。
五姓田義松《自画像》(藝)や、

彫刻教師として来日したイタリアのヴィンチェンツォ・ラグーザの
《日本の大工》(藝)は、時代劇に出てくる丁髷姿のいなせな若者が
今にも語りかけてきそうな生き生きとした胸像。背中のイレズミも面白い。

必死に西洋美術を学習してきた日本ですが、このままでいいのかと、
日本の伝統美術を見直そうとする機運が高まります。

名古屋ボストン美術館では狩野芳崖の《悲母観音》(藝)は出品されていませんが、
岡倉秋水による模写《悲母観音》(B)が展示されていました。

名古屋ボストン美術館では展示替えがあり、
横山大観《村童観猿翁》(藝)が見られたのはラッキーだったかな。
チラシにも使われている、大観の東京美術学校卒業制作。
翁は先生の橋本雅邦、童たちは同級生の幼顔を描いているのだとか。

大観というと「朦朧体」ですよね。実は私、あまり大観の作品の良さが
よくわからないんですよ。当時批判した人の気持ちがわかるというか。
でも、ここに展示されていた《海》(B)良かった!
もう一つの波打ち際の《月下の海》(B)(チラシ中面にのっている方)は
「ふーーん‥‥」だったんですけどね。

チラシ中面のに載っている菱田春草《水鏡》(藝)は展示替えで見られませんでしたが、
東京美術学校の卒業制作《寡婦と孤児》(藝)が展示されていました。

そして、最後の第5章「近代国家として」の展示では
竹内久一《神武天皇立像》(藝)まずその大きさに驚きました。
弓が復元されたとかで、すっくと立つ大きな立像はとても威厳がありました。
明治天皇の姿を投影したものだとか。

他にも明治天皇を描いたものや、日本武尊を描いた高橋由一の油絵、
日清・日露戦争を題材にした錦絵、

別室のようになったコーナーに展示されていた六曲一隻の屏風
鈴木松年《戦勝萬歳図》(B) 1904年(明治37年)
日露戦争の戦勝を祝う提灯行列が描かれて、
当時の日本のナショナリズムに浮かれた雰囲気が感じられて、
今の私から見るとなんだか危ないなぁ、って感じるんだけど‥‥。

最後に、この展覧会の目玉の一つ
黒田清輝《婦人像(厨房)》(藝)
落ち着いた色調の中、婦人と光が差し込む厨房とが穏やかに描かれていて、
(これ名古屋展のみの出品だそうですね、見れてラッキー!)
いいなぁーって。

洋画の世界では、フランス留学から帰国した黒田、久米桂一郎らが、
新しい流れをつくっていったそう。

明治という激動の時代の中で、美術がどう変わっていったか、
そんなことがわかる展覧会でした。

名古屋ボストン美術館のウェブサイト:
http://www.nagoya-boston.or.jp/

「ダブル・インパクト 明治ニッポンの美」公式サイト:
http://double-impact.exhn.jp/

林真理子『ミカドの淑女』Kindle版

ミカドの淑女(新潮文庫)

ミカドの淑女(新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/07/29
  • メディア: Kindle版

碧南市藤井達吉現代美術館「時空を超えてつむぐ」展

$
0
0

8月18日(火)に、碧南市藤井達吉現代美術館へ行ったことを。

7月3日(金)~8月23日(日)まで、
「時空を超えてつむぐ
 ――多和英子vs放菴・達吉・鉄五郎」という展覧会をやっていました。
hekinan-tawa-1.jpg

黒を基調にしたこのチラシ「おー!カッコいいww」と見たんですが、
藤井達吉現代美術館は、「石黒鏘二展」とか、
見に行けなかったけど、「原裕治展」とか、
わりと現代彫刻作家の展覧会をやったりしていますね。

多和英子さん、私まったく知らない作家さんでしたし、
鉄の作品かー、碧南は遠いしなーくらいのカンジだったんですが、

7月26日の日曜美術館アートシーンで取り上げられていたんですよね。
そこで、この展覧会が、
碧南市藤井達吉現代美術館と、
小杉放菴記念日光美術館と、
萬鉄五郎記念美術館の共同企画で、
多和英子の作品と三美術館の所蔵作品とをあわせて展示することで、
近代と現代の美術の時空を超えた響きあいを鑑賞するものだと。
へーなんか面白そうって。

チラシの印象的な多和英子の作品をめくると、
小杉放菴、萬鉄五郎、藤井達吉の作品があらわれます。洒落てますね。
hekinan-tawa-2.jpg

ということで、見たいなーと思いつつ、お盆はパートも忙しかったので、
23日(日)までかーって焦ってたんですが、
18日(火)休みだったので、一人で電車に乗って出かけました。

碧南市藤井達吉現代美術館は1年以内のチケットの半券が
リピーター券として割引になります。(1回のみ)

前回の企画展「竹内栖鳳」展の半券を持って行ったので、
観覧料一般当日600円が、団体料金の480円になりました。

今回の企画展は2階の展示室のみ。
階段を上がった会場入口スペースにも、
多和英子の鉄の作品が置かれていました。
数ミリの鉄の棒を溶接して、布を織り上げるようにして制作されたものだと。
ざっくりとした手織りの布のような肌合いがいいなと見ました。

展示室に入ると、ところどころに多和英子の作品が置かれ、
壁などに小杉放菴、藤井達吉、萬鉄五郎の作品が展示されています。

多和英子の鉄の作品が壁からニョキッと出てるみたいな作品を含む
《かるく おもく しずむ4点組》とか面白かった。

小杉放菴は、最初「未醒」と号し、それから「放庵」「放菴」と号したそうですね。
最初の方に展示してあった「未醒」時代の作品は
デザイン的な感覚っていうか、平面的に抽象化されている画風が
私好みでした。そして放菴となってからの軽やかな水墨画がいいですね。
洋画から日本画に転じ、挿絵や漫画も描いた人らしい洒脱な雰囲気が
いいなと。

藤井達吉はここの美術館の所蔵品展示を何回か見ていますが、
工芸から図案、絵画までいろんな作品があるなと。
こうやって展示してあると、小杉放菴となんか似てるなと感じました。
小杉放菴と藤井達吉、生まれた年と亡くなった年が同じで、
どちらも1881年(明治14)~1964年(昭和39)なんですね!

萬鉄五郎は1885年(明治18)~1927年(昭和2)
東京国立近代美術館蔵の《裸体美人》(重要文化財)が有名ですね。
でもここに展示してある作品は私にはふーんってカンジでした。
パワーは感じたんですが。《裸体美人》も東京美術学校の卒業制作で
19人中16番の評価だったそうなので、私のセンスは古いのかな。

次の部屋では、多和英子のたくさんの細い鉄の棒の上に波打つような
鉄板がのっている《112 Level》がよかった。(チラシ裏面左下)
鉄の不安定なカンジ。黒雲から降ってくる雨のようにも見えました。
hekinan-tawa-3.jpg

そしてやはり、チラシ表面に使われている《 Welding 698 time 》
Weldingとは溶接、698とは698本の棒、timeは鉄を溶接するのにかけた時間を示す
とのこと。とにかく大きな作品で、屹立する山のようにも見えるけど、
表面のざらつきが柔らかな雰囲気。白っぽい絨毯に鉄の隙間からの光が
入った影が落ちていて、そんなところも面白かった。

それに対峙するように藤井達吉の六曲一双の屏風《水・火》が
置かれているのも良かった。水と火がダイナミックに描かれています。

2階を見終わって、お腹も空いたので、ランチの時間ギリギリでしたが、
1階のカフェ「むぎの家」でランチセットを。1,080円(税込)
おかゆかパンか選べたのでパンをチョイス。
2015-8-18-(1).jpg

デザートプレートとドリンクも付きます。
2015-8-18-(3).jpg

カフェのガラス越しに道向かいの西方寺が見えます。
2015-8-18-(5).jpg

1階の藤井達吉の常設展示(こちらの部屋は無料で入れます)も見て、

カフェ前のテラス(?)には、小学生たちがワークショップで作ったという、
木の枝にカラフルな毛糸をまきつけた造形が置かれていました。
2015-8-18-(8).jpg

碧南市藤井達吉現代美術館 全景
2015-8-18-(9).jpg

碧南駅まで、大通りの方から戻ると、
碧南には立派なお寺が多いですね。常行院
2015-8-18-(11).jpg

レトロな街並み好きです。
2015-8-18-(13).jpg

火曜日はこのあたりのお店、定休日が多いみたい
2015-8-18-(14).jpg

碧南市藤井達吉現代美術館:
http://www.city.hekinan.aichi.jp/tatsukichimuseum/

「時空を超えてつむぐ」展は、この後
9月5日(土)~10月25日(日) 萬鉄五郎記念美術館(岩手県花巻市)
11月7日(土)~12月23日(水・祝) 小杉放菴記念日光美術館 に巡回します。

小杉放菴記念日光美術館: http://www.khmoan.jp/


オマケ
展覧会のチラシみて、私はこの作品を思い出しました。
岐阜県図書館前にある
マルタ・パン《風景の断片》
2015-8-23-(1).jpg
(以前はここ水が張られていていい雰囲気だったんですが)

岐阜タカシマヤ「ねこ」岩合光昭 写真展

$
0
0

ツイッターでつぶやいたし、もう終わった展覧会
 会期: 8月28日(金)~9月7日(月)
なのですが、ブログ記事にもしておきます。

8月31日(月)パートが休みだったので、岐阜タカシマヤまで、
「ねこ」岩合光明 写真展を見に行きました。
2015-9-1-(2).jpg

職場の方から「あなた猫好きだったよね」と、
チケットをいただいたんです。
(入場料は一般・大学生500円なので嬉しい!)

岩合光昭‥‥「世界ネコ歩き」の人ですね。
実は私は友人の家でちらっと見たくらいなんですけど、
猫好きの間では、猫も夢中になって見ると有名ですよね。

チケットが猫の形になっているのもカワイイ!

ちょっと遠いかなと思ったけど、
ぎふメディアコスモスの駐車場へ入れて歩きました。
(30分100円で、500円払いました)

10階の催会場、エスカレーターで上がっていったので、
入口がどこかウロウロしちゃいました。

入口横の壁には、ねこの写真がたくさん貼られていました。
会期前に募集した自慢のねこちゃんの写真
(応募した人には、この写真展の招待券が1枚進呈されたそう)

IwagoMitsuaki.jpg
(チラシ裏面)

ねこの写真は、やっぱりさすがです。
大きな写真なのに、とってもクリア!
動き回る猫をどうしてこんなに美しく撮ることができるのか!
写真に添えられている短いコメントもいい。

デパートでの開催だけあって(?)グッズ売場も充実していました。
いろいろ見ているだけでも楽しかったけど、
クリアファイル1枚324円が、5枚セットで1,296円と
お値打ちだったので買っちゃいました。
2015-9-1-(5).jpg

クリアファイルにプリントされると、紙に印刷されたものより、
光沢あるせいか、猫の写真がよりきれいに見えて素敵。

しかし、岐阜タカシマヤも平日のせいなのか、店内閑散とした雰囲気だし、
(ねこ写真展はそこそこ入ってましたけど)

柳ケ瀬の寂れようは‥‥
2015-8-31-(4).jpg
2015-8-31-(3).jpg


ねこ

ねこ

  • 作者: 岩合 光昭
  • 出版社/メーカー: クレヴィス
  • 発売日: 2010/03/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



岩合光昭の世界ネコ歩き

岩合光昭の世界ネコ歩き

  • 作者: 岩合 光昭
  • 出版社/メーカー: クレヴィス
  • 発売日: 2015/03/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ギャラリーチカシン「後藤浩介キャットカーヴィング作品展」

$
0
0
先週の名古屋市美術館の記事がなかなか完成しませんので、
先にこちらの、9月13日(日)に、愛県美術館へ行く前に寄った
栄地下街のギャラリーチカシンで見た
「後藤浩介キャットカーヴィング作品展」のことを。

catcarving.jpg

たまたま手に取ったこちらのハガキ、すごくカワイイ!!
猫好きにはたまりません。

ギャラリーチカシンは栄の地下街、名鉄瀬戸線駅のすぐ前にある
貸画廊です。地下鉄栄駅からもスグで、愛知県美術館へ行く
途中で見て行けるくらい便利な地にあるのですが、
意外と画廊の前の通路は人の通行がないような‥‥
2015-9-13-(11).jpg

こじんまりとした画廊に、ホンモノそっくりの
可愛い猫の木彫作品が並んでいました。
驚くのは猫の柔らかな毛並がまるでホンモノのように見えること。
(木彫りのクマみたいなのを想像してたら、全く違う)
これは、インドネシア産のやわらかな木・ジェルトン材を使用して、
(ジェルトン材はバードカービング用として市販されている)
バーニングペンという木を焦がす電熱ペンを使って、
毛の一本一本を焦がして描いていくそう。

ウッドバーニング」のWebページ: http://www.woodburning.jp/

ウッドバーニングを使ったキャットカーヴィングの第一人者が
西 誠人(にし まこと)さん。
名古屋の栄中日文化センターにも教室があるそうで、
そこで習われたのが後藤浩介さん。

かなりの作品が売れているみたいでした。
これだけ可愛ければ納得ですね。
貸画廊なので、会期は9月10日(木)~16日(水)までの1週間しかありません。
その期間に栄に行く機会のある猫好きの方は、ぜひ見て行かれるといいですよ。

記帳したら、ポストカードをいただきました。
catcarving-1.jpg

ギャラリーチカシン
http://www.chikashin.com/gallery/

後藤浩介さんのブログ「キャットカーヴィング日記
http://catcarving.exblog.jp/
後藤さんのキャットカーヴィングの写真が載ってて素敵です。

「ウッドバーニング」のWebサイトに西誠人さんの作品が載っています。
http://www.woodburning.jp/gallery/catcarving/

西誠人さんの本

猫の木彫入門―キャット・カーヴィング

猫の木彫入門―キャット・カーヴィング

  • 作者: 西 誠人
  • 出版社/メーカー: 日貿出版社
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 単行本



名古屋市美術館「画家たちと戦争」展

$
0
0

9月6日(日)、名古屋市美術館へ行き、
「画家たちと戦争」展を見ました。ちょうど、
山田 諭 名古屋市美術館学芸員による展覧会解説会もあったので、
そちらも聞くことができ、とてもよかったです。
ブログに感想を書こうとしていたのですが、なかなか進まずに、
とうとう展覧会が終わってしまいました。やっとアップします。

「画家たちと戦争:彼らはいかにして生きぬいたのか」
Japanese Painters under the World WarⅡ, How did they survive war?
gakatatitosensou.jpg

今年は戦後70年ということ、そして安保法案への議論と、
戦争について考えさせられることが多かったです。
そんな中、この展覧会のチラシを見て、

荒涼とした街の風景の中にすっくと立つ人物像。
とてもインパクトがありました。

これは是非行かなくてはと、楽しみにしていたところ、
たまたま金券ショップに、当日一般入場料1,300円、
前売券でも1,100円のところ、850円でチケット(招待券でした)が
出ていて、ラッキー!と買っちゃいました。

でも、お盆でパートが忙しかったり、会期が迫っている展覧会を
優先したりして、なかなか行けなかったんですよね。

9月6日(日)も、そろそろ行かないとなーと思いながら、
日曜美術館を見てゴロゴロしていたら、出勤したダンナから
「iPhone忘れた」と電話が。今はiPhoneがなくては仕事にならないので、
すぐに名古屋の会社まで持って行くことに。おかげで私にしては
早い時間(っても11時前ですが)に電車に乗りました。

ダンナにiPhoneを届けてから、名古屋市美術館へ。
本降りの雨のせいなのか、日曜日にしては空いていました。
昼時でしたが、展示を見てから食事しようと。
そして、最近の私にしては早い時間に来れたので、これなら
もう一つ美術館行けるかなって思ったんですが‥‥

私チェックしていなかったんですが、この日は
山田 諭 名古屋市美術館学芸員による展覧会解説会が
午後2時から2階の講堂であったんです。展覧会を見ている時に
アナウンスがあり、無料とのことで、せっかくだから聞いていこうと。

その解説会を聴けたのも、とてもラッキーでした。
この展覧会を企画・担当された学芸員の方の、詳しい説明で
それぞれの画家が戦争中、どのように生き抜いたのか
とてもよくわかりました。

展覧会チラシの内面は年表になっています。
gakatatitosensou-3.jpg

会場に入って最初が、北脇 昇(1901-1951)の展示。
北脇昇は後期展示(8月25日(火)~9月23日(水・祝))のみの作家です。
実は私は北脇昇という画家、知りませんでした。

正直、ふーん‥‥ってカンジ。鳥と猫で顔になっている絵とか、
グラフのような絵とか、何かの図式かって絵の隣には、
仏像を描いた《春に合掌す》1941年って絵があり、
穏やかな夕方の風景と見える《朱と紫》
子 曰
惡紫之
奪朱也

と、なにやら意味深な文字(論語だそうですね)や図が描かれています。
戦前に独自のシュルレアリスム絵画を確立した北脇昇だったけど、
戦争でシュルレアリスムはダメとなり、「図式絵画」や
東洋思想に傾倒した作品を制作したそう。

戦後の代表作《クォ・ヴァディス》1949年は、
ラテン語で「どこへ行くのか」という意味。

聖書の、聖ペトロが迫害から逃れるためにローマを離れ、
アッピア街道を歩いていたとき、夜明けの光のなかに現われた
キリストの姿を見て「クォ・ヴァディス」と尋ねると、
キリストは「そなたが私の民を見捨てるなら、
私はローマに行って、いま一度十字架にかかろう」と答えた。
聖ペトロは迷うことなく道を引き返して、
ローマで十字架に架けられて殉教した。という物語からの言葉。

荒野に佇む男はどこへ行くのか。右上の嵐の中か、
左の赤旗を掲げて行進する民衆の中か、
それとも足元の大きな蝸牛の殻に閉じこもるのか?
クォ・ヴァディス。
画家は民衆の中へ行きたいのかな?
でも、引きこもりっぽい私にとって、
足元の大きな殻が結構魅力的に思えちゃうんだけど。

香月泰男(1911-1974)
シベリア抑留の過酷な体験を描いた「シベリア」シリーズが有名ですね。
でも初期のゴッホ風の明るい《風景》1931年頃 は意外でした。
教職の傍ら学校の小屋で飼われていたウサギを描いた《兎》1939年
1942年、31歳で応召され満州国へ。丙種合格で後備兵としての駐屯で、
絵の具を持って行き、麻袋に描いて戦時特別文展に出品したのが
《ホロンパイル》1944年 セルリアンブルーの色調が陰鬱な雰囲気。
香月の戦争中の絵はセルリアンブルーが主調色だそう。
1945年の終戦後、ソ連軍にシベリア抑留され、2年間の強制労働の後
1947年に帰国。しかしすぐにシベリア抑留の過酷な体験を絵に
できたわけではなく、明るい色調で描かれた《風》1948年などを経て、
十年経ってからやっとだったそう。
軍隊毛布に包まれた死者を弔う《涅槃》1960年
怨念が迫ってくるような迫力でした。

福田豊四郎(1904-1970)
実はこの人も私の知らない日本画家でしたが、
《早苗曇り》1930年 って絵がすごく私好み!!
第11回帝展特選の大きな絵で、馬で代掻きをしている
美しい農村風景をバックに、早苗を運ぶ馬に乗った少年。
馬に乗った少年を見上げるように鑑賞すると、
こちらも少年から見られているよう。馬の足元の
草も丁寧に描かれていてとてもいい!

ラクダを描いた《蒙彊》1939年 も面白いなと。
従軍画家として満州・蒙古などに派遣されて描いたものだそう。

《山脈(からす)》1941年
山脈の上空を飛ぶカラスが黒い飛行機のよう。

《落下傘[神兵降下]》1943年
戦争記録画なんだろうけど、下に見える落下傘の形とか面白いなぁと。

戦後1947年の《暮沼》は穏やかな鷺の絵。

松本竣介(1912-1948)
展覧会のチラシやポスターに使われているのが
松本竣介《立てる像》1942年
NHK日曜美術館で、
太平洋戦争直前の昭和16(1941)年、軍部が「国策のため筆を取れ、戦争画を描け」と 命じたのに、ただ一人異を唱え、 「画家は腹の底まで染みこんだ肉体化した絵しか描けぬ」と言い放った “抵抗画家”がいる。当時29歳の青年、松本竣介(1912-1948)である。
(日曜美術館のウェブサイトより)
だとやっていました。(2012年8月5日放送)
そんなことを言えば、当時どんなに非難されたか!
戦争反対などと言えば、逮捕されて虐殺された時代。
これだけのことを言うのが、いかに危険で、勇気のいることだったか!

そんな松本竣介のほぼ等身大の自画像
「滅私奉公」が求められた時代に、自分を描くこと。
この人物は、何を見て、何を考えているのだろうと。
時流に流されまいと地面を踏みしめているようにも思えます。

私はNHK日曜美術館で松本竣介を知ったので、
《立てる像》や、《議事堂のある風景》1942年、《Y市の橋》1944年頃のような、
建物や風景を描いた画家だと思っていたのですが、
《街》1938年や、《街にて》1940年 などの、ブルーを基調にした、
どこか詩情あふれるような作品がいいなって思いました。
特に、小品だけど《郊外》1938年のブルーとグリーンの中のモダンな家、
なんか幸福感のようなものを感じて好きです。

日曜美術館で紹介されていた松本俊介の遺作
《建物》1948年 を見られたのも嬉しかった。

藤田嗣治(1886-1968)
次のコーナーで、大きな、これぞ戦争画って絵
《シンガポール最後の日(ブキ・テマ高地)》1942年 が目に飛び込んできました。
画家の名前を見ると、藤田嗣治。え?! あの乳白色の裸婦の?って。
(チラシ裏面に使われています)
gakatatitosensou-2.jpg

藤田嗣治は、現時点において、日本最高の戦争画家」だそう。
この《シンガポール最後の日(ブキ・テマ高地)》は、
実際に陸軍から現地に派遣されて、戦跡の風景をスケッチして、兵士たちから取材して
描いたもの。シンガポールから来た人が、この風景はそのままだと言ったそう。

乳白色の裸婦も展示されていました。興味深かったのは、
戦前と戦後とで、全く同じポーズの裸婦の絵が展示されていたこと。
1931年の《眠れる女》公益財団法人平野政吉美術財団蔵と、
1947年の《私の夢》新潟県立近代美術館・万代島美術館蔵
戦前の絵はいかにもフジタってイメージで、裸婦の傍らには
子猫が平和に眠っているけど、戦後のは裸婦の回りを
服を着た猫やら犬やらが取り囲んで、なにやら不気味な悪夢のよう。

1936年に描いた《自画像》公益財団法人平野政吉美術財団蔵 も面白いなぁと。
生活感あふれる日本の部屋で、猫を懐に入れて、
食後のタバコをふかす姿‥‥フツーこんなしどけない姿を描きませんよね。
達者に描ける人だったんだなぁと。

福沢一郎(1898-1992)
この人も私は知りませんでした。
《他人の恋》1930年や、《よき料理人》1930年、
《美しき幻想は至る所にあり》1931年と、なにやら意味深に見える絵が
並んでいます。

シュルレアリスム運動の指導的立場にあった画家・福沢一郎は、
1941年4月5日に治安維持法違反の嫌疑で検挙・拘束され、
10月10日、起訴猶予で釈放されたとのこと。

このシュルレアリスム弾圧事件で、
釈放後の戦争中は美術文化協会の存続のために
《船舶兵基地出発》1945年 のような戦争画も描いたそう。
(この作品は参考作品として複製画のパネル展示でした)

戦後はすぐに「シュルレアリスム弾圧事件」に抗議する個展を開催。
ダンテの『神曲』を連想させる《世相群像》1946年 などを描いたそう。
弾圧に対する怒りや戦後の混乱した世相を描いた地獄絵図なんでしょうか。
‥‥私個人的にはこういった絵好きじゃないんですけど。

1955年の作品《顔》とかはシュルレアリスムでもない抽象絵画?

あまり私の好みじゃない絵なんですけど、
大作《牛》1936年 は、その迫力に圧倒されました。
このグロテスクな牛は、ミノタウロスの神話を下敷きにして、
「五族協和」「王道楽土」と讃えられる満州国を表しているのではないかと。

階段を上がって2階の展示室へ入ると、

北川民次(1894-1989)
名古屋市美術館のコレクション展でもよく見ている北川民次
《トラルパム霊園のお祭り》1930年 も展示されていました。

アメリカで働きながら学び、メキシコで革命後の
「メキシコ壁画運動」と「野外美術学校運動」に参加して
1936年に帰国した北川民次。

しかし22年ぶりの祖国は、日中戦争に突入して
戦時体制が厳しくなってきていた。

そんな中で制作された《鉛の兵隊(銃後の少女)》1939年
戦時体制下らしい作品だなって見ていたけど、
解説を聞いて目からウロコだったのは、
「日本軍の攻撃に国旗を捨てて敗走する中国軍」って
いかにも軍部が喜びそうな絵だけど、遊ぶ少女は
「青い目の人形」を今でも大事に可愛がっていること、
軍国少女なら、この場面でにっこり笑うハズなのに、
退屈そうな表情をしていること。メキシコで自主性を尊重する
教育を受けて帰国した民次の娘は「滅私奉公」の日本の教育に
戸惑っていただろう。民次の反戦思想が隠されているのだと。

そっかー!! 北川民次のユーモアあふれる反骨精神ですね。

《焼跡》1945年!!←多くの画家が敗戦の虚脱状態にあっただろう頃に
描かれた絵の、泣く母親に対する子供たちのたくましさ!

民次の反骨精神は戦後も発揮されて、
女性のヌードと土人たち? って《雑草の如くⅢ》1949年 は、
ヌード・モデルを若い画家たちが担いで銀座を練り歩いた二科会展前夜祭の
催事に対する痛烈な風刺なのだと。

《いなごの群れ》1959年 も、沖縄の軍用地の接収問題を告発した絵だそう。

吉岡堅二(1906-1990)
この人も私の知らない日本画家でした。後期のみの展示でした。
第11回帝展で特選をとった《奈良の鹿》1930年
穏やかで美しい日本の風景で、私好みのいかにも日本画だなって見たけど、
背景の山などにキュビスム的な表現が見られると。

解説会では《海浜》1934年 と三岸好太郎の絵との共通点とか、
アルタミラの洞窟壁画などからも取り入れていったことがわかりました。

1階で展示されていた福田豊四郎とともに従軍画家として派遣されて、
同じように駱駝を描いているけど、それぞれの違いが見られて面白い。

戦争記録画《雨中急追》1941年
雨の中を自転車で追撃する軍隊‥‥今見ると、なんだかなぁー、
こんな状態で戦っていたワケ?って思うんだけど。

吉原治良(1905-1972)
大阪の国立国際美術館へ行った帰り、ぶらぶら歩いていると、
「グタイピナコテカ跡」って看板があり、
吉原治良を中心とした現代アート「具体美術協会」を知りました。

大阪・国立国際美術館と里山カフェ
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-10-21

吉原治良は画家であり企業家であったと。

戦前に、《図説》1934年 や、《作品A》1936年 などの抽象画を
描いていたが、戦時体制下で抽象絵画が攻撃されるようになると、
吉原は《雪山》1940年 や、《菊(ロ)》1942年 などの、
具象画に見えるような作品を描く。
これは「後退」ではなく、勇気ある「撤退」であったろうと。
企業人でもあった吉原には、会社を守る責任があったと。

《作品A》と《雪山》が並べられていると、よく似ていることに気が付きます。

しかし戦後、スグに純粋抽象へ復帰できたわけでなく、
《涙を流す顔》1949年 のような人間(だとわかる)を描いたりして、

吉原治良の代名詞「円」の出発点となった作品《UNTITLED》1962年
に至るわけですね。

2階展示室の最後が、 山口薫(1907-1968)
この人も私知りませんでした。
正直、ふーん‥‥、うーん‥‥ってカンジ。作品を見てきて疲れたということと、
解説会が間もなく始まるというアナウンスがあって、焦っていたこともありますが。

《紐》1939年 の真っ赤(朱)な画面に抽象画のような紐だけを描いた絵は、
なんじゃこりゃーと思いながらも、面白いなーと思いました。

解説会では、山口薫の戦時下の作品は朱色がベースだと。

《練習機飛ぶ》1944年 って絵も、戦争画かもしれませんが、
タイトルがなければ飛行機に気がつかないくらいの不思議な絵ですね。

2階の会場出口スグが解説会が開催された講堂入口でした。
この部屋入るの初めてです。
2時からの開催でしたが、展示されている12人の画家についてそれぞれ
熱心に解説されるので、解説が終わったのが4時を過ぎていました。

そこで、まだ宮本三郎と岡鹿之助を見ていないことに気づき、
質疑応答の途中でしたが、地下の展示室へ。

岡鹿之助(1898-1978)
点描による静かな風景画を描く岡鹿之助は、もし戦争がなかったら、
おそらく日本に帰国することなく、ずっとフランスで過ごしたのではないかと。

戦前のパリで制作した《信号台》1926年 で、もう
岡鹿之助の画風が確立されています。

しかし、ドイツ軍のパリ占領によって帰国を余儀なくされ、
久しぶりの祖国は厳しい戦時体制下にありました。

油絵具やキャンバスの輸入も激減し、国産の粗悪な代用品しかなかったと。
そんな中で、岡鹿之助の画面は暗く、色彩を喪失したかのような
《白鷺城》1942年、《農家》1943年 が制作されます。

戦後もしばらくは色が戻らなかったと。解説会で、
展示されていた横浜美術館蔵《橋》1948年 と、
愛知県美術館蔵《窓》1949年(「芸術植物園」展に展示されてました)を
比べていましたが、同じ場所を描いていますが、火見櫓が煙突になり、
窓枠とカーテン、植木鉢のある《窓》は、戦前の暖かな色を
取り戻したかのようで興味深かった。

切手にもなっている代表作《雪の発電所》1956年 が見られたのも嬉しかった。

宮本三郎(1906-1974)
2011年6月19日放送のNHK日曜美術館で、宮本三郎が、最も有名な戦争記録画
《山下、パーシバル両司令官会見図》を描いた画家で、
そのことが戦後つきまとうことになったと。
放送では、死後アトリエから《死の家族》1950年 が発見されたと。
大地に横たわる死せる男と、その死を悼む妻の姿。
戦争画を制作したことに対する「懺悔」として、発表を前提としないこの
作品が描かれたのではないかと。

デッサン力に優れた宮本三郎は、挿絵画家としても名声を確立していたし、
ずっと女性やファッションを描いてきていて、従軍画家として派遣された
戦地で制作した《マライの娘》1943年 は、エキゾチックな南国の少女を
生き生きと描いていていいなぁーと。

宮本三郎の戦争画としては、《シンガポール英軍の降伏》1943年
が展示されていました。これは絵葉書の原画だそう。

宮本三郎にとって、戦争画を描くことは、軍の要請に応えて描く
挿絵のようなものではなかったかと。

戦争画を描いたことを非難することはできないだろうと私は思います。
あの時代、画家が戦争画を描くのは、応召されて戦争に行くようなもの
だったのではないでしょうか。

宮本三郎は一貫して裸婦を描きたかっただろうに、戦争中は
裸婦を描くことができなくて、思えば気の毒だなと。

この展覧会、前期と後期で展示替えがあり、
前期のみの展示が、横山大観と恩地孝四郎でした。見られなかったのは
ちょっと残念ですが、図録見ると、横山大観は富士山の絵ばかりで、
私、こういう横山大観の絵のどこがいいのかよくわからないんですよ。
あまりに安直で通俗的じゃないですか?
戦前も戦争中も戦後も変わらずに富士を描いているのも、なんだかなーって。

地下1階の展示室を出たら、もう4時半近くなっていましたが、
コレクション展も駆け足で見ました。そのことは次の記事で。


★オマケ★

「クォ・ヴァディス」って言葉、私は
樹村みのり『ローマのモザイク』(初出:1975年別冊少女コミック2月号)で知りました。

おそらく作者の体験をもとにした物語で、
治安が悪いからひとり歩きはするなと言われていたローマで、どうしても
クォ・ヴァディス聖堂を見たくて、ひとり歩きをすることになった私。
たまたま会った、聖堂の隣に住むおじさんにものすごく親切にされて感動する話。

クォ・ヴァディス聖堂は
市内の大きな教会を たくさん見たあとでは  それは小さすぎるほどの 建物でした

聖堂の中には その昔 イエスが立っていた といわれる場所に  大理石の足跡が ありました
QuoVadis.jpg

こちらの単行本「星に住む人びと」に収録されているそうなんですが、
今は中古も売切れのようですね。



「ミノタウロス」って言われて思い浮かぶのはやっぱり、
藤子・F・不二雄の傑作『ミノタウロスの皿』ですね。

名古屋市美術館コレクション展と高松次郎《名古屋駅の人々》

$
0
0

9月6日(日)に、名古屋市美術館へ行き「画家たちと戦争」展を
見たことは前記事に書きました。

見終わったのは4時半近くになっていたのですが、せっかくなので
コレクション展も駆け足で見ました。

入口のところにあったケースの中に入った黄金色のゴロンとした
ブロンズのオブジェ。‥‥正直、なんじゃこりゃーってカンジ。
コンスタンティン・ブランクーシ《うぶごえ》1917年
現代の美術かと思ったら、エコール・ド・パリの美術なんですね。
1917年にこの彫刻は理解されたのかな? (鋳造は1984年だそう)

現代の美術の部屋の真ん中に置かれているのは、
小清水漸《夢の浮舟―赤い舟》
この作品は初めて目にしますが、真っ赤な板が目を引きます。
板のゆるやかなくぼみに水が張られているのは、
岐阜県美術館の《作業台》でも見ました。
岐阜県美術館には野外彫刻の《アララトの舟》もあります。

奥の壁には、李禹煥《風とともに》
大きな作品だけど、ほとんど余白みたいな。
でもなんか爽やかでいいカンジ。

愛知県美術館で、鉛筆でうねうねと描いた《地ごく楽2003-2》って作品が
印象的だった眞島直子。ここにも鉛筆でうねうねと描いた
《密林にて》って作品が展示されていました。

フンデルトワッサーの蝉凧が天井近くに展示されていたのには、
ちょっとニヤッとしました。

ここでかなり時間もなくなって、
エコール・ド・パリのコーナーやメキシコ絵画のコーナーは、
かなりすっ飛ばして、最後の郷土の美術の部屋も、
すっ飛ばして出ようと思ったんですが、
高松次郎《「イメージの空間:名古屋駅の人々」のための構想ドローイング》
という鉛筆のスケッチが並んでいて、
地下鉄桜通線の名古屋駅に設置された作品のドローイングだと。

えー?! 私、桜通線は何回か利用したことがあるけど
気がつかなかったなーと。なので、帰りに探してみました。

伏見駅から地下鉄東山線で名古屋駅まで行き、
桜通線の方へ回ってみました。いつも改札を抜けて名鉄への
乗り換え方面へ行くので気がつかなかったんですね。

2015-9-6-(17).jpg
名古屋駅にしては人通りも少ない通路の壁面にありました。
2015-9-6-(18).jpg
2015-9-6-(19).jpg
2015-9-6-(21).jpg
2015-9-6-(22).jpg
2015-9-6-(23).jpg
2015-9-6-(24).jpg
「JIRO TAKAMATSU 1989」とサインが入っています。

池田温泉新館ふくしの湯

$
0
0

今年の秋はカレンダーの並びが良くて、人によっては5連休となりましたね。
(次に5連休となるのは次は11年後ですって?)
「シルバーウィーク」って名称も定着したのかな?

そして、今年のシルバーウィークは、9月には珍しく(?)
ずっと天気も良くて、行楽日和が続きました。
観光地や高速道路の渋滞のニュースも伝わってきましたが、
皆様いかがお過ごしでしたか?

私のパートはかえって定休日の日曜が出勤になったりしましたが、
交替で、22日(火・国民の休日)が休みになりました。

そこで、母と池田温泉に行ってきました。

腰部脊柱管狭窄症で手術したのですが、あまり経過が良くなくて、
かえって足の麻痺がひどくなり、車椅子生活になってしまった母。

週3日のデイケアでお風呂に入れてもらっているんですが、
デイケアが休みになるお正月に、母と
海津温泉の「ふくしの湯」に行ったことはこちらの記事に
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-01-05

その後、3月の春分の日にも海津温泉に行って来ました。

今回のシルバーウィークもデイケアが休みになるので、
22日の予約をしようと、海津温泉の電話番号を調べるつもりで、
ネットで「ふくしの湯」で検索したんです。

そうしたら一番上に池田温泉が出てきました。
池田温泉には、本館しかなかった頃から2、3回行ったことがあります。
なになに? 池田温泉にもふくしの湯があるの?と。

池田温泉新館ふくしの湯
http://ikedaonsen.jp/hukushinoyu/

池田温泉のウェブサイトを見て、今回はこちらへ行ってみようかなと、
電話で13:30~の回を予約しました。

我が家からは海津温泉も池田温泉も同じくらいの、
車で1時間程で行くことができます。

途中の川の土手には彼岸花がたくさん咲いていました。

ちょっと早めの11時頃に出発して12時頃に到着。
池田温泉新館の前には、ふくしの湯利用者専用の駐車スペースがあって
ありがたいですが、受付に言ってチェーンを外してもらわなくてはならず、
混雑している中、スタッフの方に来てもらうのは恐縮してしまいます。
(一般の方の駐車場は下にあって、皆さん坂を上って新館入口にいらっしゃいます)

受付前のロビーも狭いカンジで、人でごったがえしていました。
まず食事をしようと、2階の食堂へ。
こちらも12時過ぎとあって、わりと広い座敷とテーブル席の部屋が
ありましたが、席を待つ人が並んでいて、
チーフらしい方が声をからして大勢のスタッフに指図していました。

テーブル席に案内されて(慣れたカンジで車椅子を押してくださいました)
母は、「刺身定食」1,520円を、
私は、一番人気だという「美濃ヘルシーポーク とんてき定食」1,350円を注文。
2015-9-22-(1).jpg
ニンニクがゴロゴロ! 見た目ほど辛くなく、豚肉も柔らかかった。
混雑しているので覚悟していましたが、注文から出てくるまでわりと早かったです。

惣菜などを自分でとってくるコーナーやドリンクバーもあるんですね。

食事を終えて、ロビーに行くも、人でいっぱいです。
トイレに行くにも、車椅子で通るのに、いちいち声をかけて
人にどいてもらわないと行けませんでした。

受付でふくしの湯の書類を書いて、券売機で入浴料大人500円×2人分を買い、
時間になって案内してもらいました。
ふくしの湯の中は、脱衣場も浴場も広いです。

脱衣場にトイレがあるのもいいですね。
さっき、人をかきわけてトイレに行かなくてもよかったな。
2015-9-22-(5).jpg

浴室には車椅子に座ったまま入浴できる電動リフトもあるので、
かなり体の不自由な方の入浴もできますね。
母は手すりがあればゆっくり伝って入れるので使いませんでしたが。
2015-9-22-(2).jpg

洗い場は1人分しかないので、交替で使わないといけません。
2015-9-22-(4).jpg
お湯は無色透明で、一見フツーのお湯のように見えるんですが、
入ると、肌がつるつるしたカンジで、明らかに普通の湯とは違うのがわかります。

この、肌のしっとり・つるつる感は翌日くらいまで感じることができました。
この泉質が人気なんでしょうね。
連休だからよけい混雑したんでしょうが、
ネットの口コミを見ても、混んでいたってのが多いですね。
そういや私も、昔来た時、日曜だからかすごく混んでたことを思い出しました。

母のおかげ(?)で、広い「ふくしの湯」にゆったりつかることができて、
これは役得だったかも!

お風呂からあがっても、ロビーは混雑していて、
ゆっくり休めるような場所もなさそうなので、
ふくしの湯を出たことをスタッフの方に告げて、
駐車場のチェーンをはずしてもらって、車を出しました。

お土産も買いたかったので、すぐ近くの道の駅「池田温泉」へ。
こちらも混んでいて、広い駐車場もほぼ満車。
なんとか駐車スペース(一般の場所でしたが一番端だったので
車椅子の乗り降りができてラッキー)を見つけることができました。

シルバーウィーク中のイベントとして、
吉本新喜劇のホンモノのセットが展示されていました。
写真撮影もできるとのことでしたが、ビニールがかけられていて、
あまりうまく写りそうになかったし、人もいっぱいだったので‥‥。
若手芸人の公演もあるとのことでした。

ここの道の駅は、JAの野菜直売所の他、バウムクーヘンのお店とか、
小さなお店がそれぞれにあるってカンジですね。
ナゼか、蟹や海産物の特売とかやってて、
うーん池田温泉に来てこれは‥‥?って。

とりあえず、喉が渇いていたので(いつもお風呂あがりには自販機などの
ドリンクでのんびりするんですけど、今回できなかったので)
揖斐茶を売っている店でアイスグリーンティを飲みました。

他の道の駅なんかでは、箱に入ったお土産みたいなのが積んであるのを
見るんですが、ここはあまり目につかず、やっとあったと思ったら、
「岐阜枝豆チョコサンドクッキー」とか「長良川○○」「鵜飼○○」
うーん、これらはウチの近くのスーパーでも売ってるしなーと。

まぁこれでも仕方ないかーと半分あきらめていたら見つけました。
「いげたやの肉桂餅(にっきもち)」
2015-9-22-(8).jpg
揖斐郡池田町の古くからの和菓子舗のお餅だそう。
6個入りで700円でした。
2015-9-22-(10).jpg
母の家族へのお土産用と、ウチにも買ってもらいました。
肉桂(シナモン)の味がして美味しかったです。

肉桂餅本舗いげたやのHP: http://www.igetaya.jp/

一般の入浴料と同じ500円で、これだけの施設が利用できるのは嬉しいですね。
もう少し、ロビーとかゆったりできるといいんだけど‥‥。
池田温泉のウェブサイト: http://ikedaonsen.jp/
池田温泉新館ふくしの湯: http://ikedaonsen.jp/hukushinoyu/

岐阜県美術館「小さな藤田嗣治展」

$
0
0

9月27日(日)、岐阜県美術館へ行ってきました。
「レオナール・フジタからの贈り物
 小さな藤田嗣治展」をやっています。
LeonardFoujita1.jpg

A4サイズのチラシの黒いバックの中にポツンと置かれた小さな絵は、
原寸大に印刷されているんですね。
《二匹の猫を抱く少女》1955年
額縁も藤田のお手製で、
裏には「Pour Kimiyo」(君代のために)と記されているそう。

名古屋市美術館「画家たちと戦争」展で、
藤田嗣治の戦争記録画が展示されていましたが、
戦後、藤田は「画壇の戦争責任問題を一人背負うかのように国外に去ることとなります。 1949年にアメリカ経由でフランスへ渡り、やがて帰化した後は、 再び日本に戻ることはありませんでした。」(チラシ裏面より)

この展覧会、良かったー!!
実は私はそれほど藤田嗣治好きじゃなかったんです。
‥‥なんか軽薄なカンジがして‥‥
岐阜県美術館の後援会員なので、全ての企画展が一度ずつ
見られるので行ったんですが、見ていてとても幸せな気持ちになりました。
LeonardFoujita2.jpg

日本の美術館として初公開となる小さな作品の多くは、妻 君代に贈られた、 二人にとって特別な存在でした。 手のひらに収まるほどの小さな作品は、藤田お手製の額縁に入れられて、 まるで宝石箱を開けて眺めているかのような至福感に満たされます。
(チラシ裏面より)

追われるように日本を離れ、フランスのパリ郊外のアトリエ兼住居で、
一緒に暮らす妻 君代のために描いて贈った作品なのだからですね。

今回の企画展、いつもは所蔵品展の入口になっているところから入ります。

挨拶のパネルが載せられているのは、藤田が1949年に日本を離れる時に
アトリエに残されていたイーゼルだそう。そして藤田の小さな自刻像石膏が
小さなガラスケースに入れられています。

展示室に入ると、絵本の一場面のような、子供たちを描いた小品が並んでいます。
今回の作品は個人蔵のものがほとんどですが、このあたり岐阜県美術館蔵の
ものも結構あって、へー、岐阜県美術館こんなものも所蔵していたのねと。

《校庭》って絵と《子供たち》って絵(どちらもフランス語では《L'Ecole》
体操をしている子供たち9人はほとんど同じなのに来ている服が違ったり、
見ている女性が片方は尼僧だったりと、間違い探しのようで面白かった。
LeonardFoujita5.jpg

《二人の思い出》1952年 ガラス絵に描かれた、
藤田にしては素朴な絵に
「1935年3月14日 君代ト知ル 4月14日 愛」から、
1949年3月10日に嗣治が日本羽田発、5月21日に君代発
1950年1月27日に紐育出帆、2月4日巴里着したことなどが
描き込んでありました。

ガラス瓶に描かれた絵もあって、これって油絵具?
ちょっと透けるカンジも可愛くて素敵!!

猫の絵を並べたコーナーでは、もちろん
岐阜県美術館蔵の《猫》1949年 もありました(チラシ裏面右)
「小さい」作品ではないけど(142.3×123.4cmの大作です)
岐阜県美術館蔵《夢》1925年 も並んでいました。

展示室1-Bでは、ガラスケースの中のパネルに、
チラシに使われている、手のひらに載るほどの小さな絵。
宝石を見ているような至福感です。

いつもルドンの版画等が展示されている展示室1-Cのケースには、
《ジャン・コクトー『四十雀』挿図版画》が並んでいました。
《ジャン・コクトー『海龍』挿図版画》は日本的な雰囲気が素敵。

そして、藤田と君代夫人(ですよね)が聖母子像の前に座っている
《二人の祈り》1952年 後(1959年)にカトリックに改宗して
「レオナール」という洗礼名を受ける藤田。
画面の下方に描かれているグロテスクな魚たちは、
戦争画を描いたことを、戦後豹変したように非難した人々の醜さなのかな?
後方も雲から子供たちの頭だけが出ているようで、
なんかちょっと気味が悪い‥‥でもとても魅力的な絵で見入ってしまいました。

「小さな藤田嗣治展」一つ一つの作品が小さいので、
展示室1-A,B,Cと3室のみなんですが、
小さいけど濃密な絵が並んでいて(出品リストでは125点)とても良かったです。

また展覧会の図録が素晴らしい!!
フツー、展覧会の図録って会場のベンチなどで読めるようにおいてありますよね。
でも「小さな藤田嗣治展」の図録は、ガラスケースに収まっているんです。
LeonardFoujita6.jpg

展示作品から選ばれた48枚の絵がトランプのカードのように
小さな箱に収まっていて、まさに「フジタからの贈り物」のよう。
宝石箱を開けて眺めているようで(カードの金縁もいいですね)
とても素敵です。2,000円でした。
LeonardFoujita4.jpg

このカードを飾るための小さな額縁も売っていましたけど、まぁそこまでは‥‥

所蔵品展示と、その他のことは次の記事で書きます。
(こちらもとても良かった!)

会場入り口近くには、藤田嗣治を描いた映画の紹介と、
アトリエの模型(?)も飾ってありました。いかにもパリって
可愛くて洒落た雰囲気。
(稲沢市荻須記念美術館に荻須高徳のパリのアトリエが
 再現されていますが、雰囲気似てるなって)

FOUJITA1.jpg
映画は、フランスとの合作で、
藤田嗣治はオダギリジョー
妻 君代は中谷美紀

岐阜シネックスで11月14日(土)よりロードショーとのこと
FOUJITA2.jpg

映画「FOUJITA」公式サイト: http://foujita.info/
予告編見ましたが、映像もすごくきれいで、
私映画はほとんど見ないんですが、これは見たい!

オマケ
中日新聞9月8日朝刊の記事
2015-9-8chunichi.jpg

岐阜県美術館のウェブサイト: http://www.kenbi.pref.gifu.lg.jp/

Viewing all 803 articles
Browse latest View live