6月23日(火)、多治見のセラミックパークMINO内にある
岐阜県現代陶芸美術館へ行きました。
「きになるかたち」展をやっています。
本展覧会では、1,700点を超える現代陶芸作品の中から、
気になって思わず見入ってしまうような魅力的な造形の作品、
見ていると何かの感覚や感情が沸き起こってくるような形の作品を展示し、
現代陶芸の多彩な魅力を紹介します。(チラシより)
この日はパートが休みで、午後からは特に予定もなかったので、
思い立って一人で出かけました。我が家から車で約1時間程で行けます。
着いたのは3時頃でした。が、ものすごく空いてました。
スタッフの人にしか会わなかったような‥‥?
え~?! なんか申し訳ないくらい。平日とはいえ‥‥
展示はすごく面白かったです。それに、この展示は全て
岐阜県現代陶芸美術館の所蔵品なので、観覧料一般330円という安さ!
(でも私は岐阜県美術館の後援会員なので無料で入れるんです)
あらためて岐阜県現代陶芸美術館のコレクションの質と量に驚きます。
「きになる」は「気になる」だとばかり思っていたのですが、
最初の展示コーナーは「『記』になるかたち」として、
八木一夫《頁1》1971年
開かれた本の1ページが立ち上がっています。
あ、八木一夫って、6月14日の、日曜美術館の40周年を記念した
特別アンコール放送「私と八木一夫 作家 司馬遼太郎」で、
司馬遼太郎さんが、八木一夫について熱く語っていたっけと。
‥‥ただ、私はこの作品ふーーん、ってくらいだったんですけど‥‥
制作当時(1971年)としては斬新だったのかなと。
三輪休雪《続・卑弥呼の書No.4》1992年 は迫力でした!
(チラシ裏面上段左)
その大きさもインパクトあるし、キンキラだし!!
アルファベット文字のようなものが記されてはいるけど‥‥
そして、ここの所蔵品展ではよく見ている
三島喜美代の新聞や雑誌をやきもので作った作品と、
レモンやバナナの段ボール箱をやきもので作った
《サンキスボックス》《バナナボックス》も展示されていました。
(あれ、レモンの箱、「サンキスト」じゃなくて「サンキス」なんだ)
そして「『生』になるかたち」
3月に見に来た
「世界とつながる本当の方法」展の所蔵作品展の方で
展示されていて、すごくいいなと思った
杉浦康益《ひまわり3部作―うつりゆく時間(ヒマワリの朽ちた殻)》や、
田嶋悦子の作品(チラシ裏面上段左から3番目が《コヌルピア99-IX》
(「
世界とつながる本当の方法」でも田嶋悦子の作品が展示されていましたね)
重松あゆみの作品が面白かった!
(チラシ表面下右―ちょっと端が切れてます―が《骨の耳'92-14》)
なんともユニークなカタチです。
そして内臓を取り出したような《Yellow Triplet》《Memory Cube》
管の中と外側がつながっているクラインの壺が組み合わさったような形?
面白ーい!!
チラシ表面左下の斎木俊秀《三つ足(フラワーベース)》は、
なんともカワイイ!!
作品名のように、三つ足で、小さな穴は花を入れたりと
実用にもなるんでしょうが、なんともユーモラスで、
アニメのキャラクターのようなカンジも。
ツルツルの陶器ってところもいいなぁ。
「『気』になるかたち」では、
チラシ表面上に使われている中島晴美《苦闘する形態》
この作品、私は2013年の
岐阜県美術館「体感アート@県美.com」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19
で初めて見て、すごくインパクトありました。
それでこの人すごいって、江南のギャラリーで展示されているのを
たまたま知って見に行きました。
ギャラリー数寄「川浦紗季 中島晴美 土井洋佑展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-09
でも、今回この作品《苦闘する形態》を見て、
あれ?なんかちょっと汚れた?って気になってしまった。
後で所蔵作品の解説カードを見て気づいたのですが、
この《苦闘する形態》は陶器だそう。で、もう一つ
中島晴美の作品が展示されていたんですが、その
《反転しながら増殖する形態》は磁器だと。
そちらは表面がツルツルしてきれいなので、
汚れたように思ってしまったんでしょうね。
板橋廣美《白の連想1990》(チラシ裏面上左から2番目)は、
鉄板が並んだ上に置かれた白い陶磁器が、やわらかく垂れているように
見えるところが面白いなぁと。
「世界とつながる本当の方法」展でも《白の連想》というタイトルの、
白い雨粒型の陶磁器がたくさん床に置かれている作品が展示されていましたね。
第7回の円空大賞を受賞した加藤委(かとう つぷさ)の作品もありました。
ただ私、
岐阜県美術館へ見に行った時も感じたんですが、
どうもこの人の作品ちょっと好きじゃないみたいです。
岐阜県美術館「第7回 円空大賞展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-02-19
「『器』になるかたち」では、
五味謙二《彩土器》(チラシ裏面中央)
あ、去年の秋に開催された国際陶磁器フェスティバル美濃'14の
コンペティションの陶芸部門のグランプリの作品!って。
国際陶磁器フェスティバル美濃'14
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17
国際陶磁器フェスティバル美濃'14のウェブサイト
http://www.icfmino.com/
(バーチャル展覧会のページで、入賞・入選作品の全てが
画像付で見られますよ!)
吉村敏治《KOCHIKU》は、デザイン部門のグランプリ作品ですね。
(チラシ裏面下左)
神田樹里《志向》(チラシ裏面下右)は陶芸部門の金賞受賞作
(ただこの作品は私はあまり印象に残ってなかったんですが)
ピナル・ギャンシュ(トルコ)《シンドリカル》は
コンペティション会場で見て、この細い紐づくりの円筒形すごいなーって
印象に残った作品でした。
「『器』になるかたち」ってことで、
加藤孝造《瀬戸黒茶碗》や、
樂吉左衛門《焼貫黒茶碗「層冰峨峨」》も展示されていましたが、
‥‥どうも私はこういうフツー(?)の焼き物の見方がよくわからないんですよね。
現代陶芸は彫刻みたいにカタチが面白いーとかって楽しいんですけど。
でも、林恭助《曜変天目茶碗》は内側の漆黒に玉虫色の輝きがキラキラと
きれいだなーって見ました。
酒井博司《藍色志野花器》この志野の地肌と色いいなー。
この人の作品、ショップでも売られていて、湯呑7,000円ってのには、
ちょっとグラっときましたが。
「『起』になるかたち」
林茂樹《Q.P》が、面白いなーと。
宇宙服を着た赤ちゃんが3体並んでいます。
ツルツルの陶磁器でできた宇宙服の質感と、
赤ちゃんの顔の人肌のような質感には見入ってしまいました。
岐阜県現代陶芸美術館 収蔵品データベースの解説によると、
http://jmapps.ne.jp/momca/
「
幼児の肌は19世紀のアンティーク・ドールであるビスクドールの技法を参照した無釉の磁器の焼き締めで、
視覚的には人肌に近い質感をもっている。」
この3体、同じだよね?
1972年生まれの林茂樹は「
正確な形態の追求と量産が可能な石膏型に林は魅力を感じ現在まで鋳込みによる制作を続けている。」
小塩薫《痕跡からの結晶―泡の靴》(チラシ表面下中)
「世界とつながる本当の方法」展の所蔵作品展で、
陶でできた帽子が展示されていた人だ。
カティ・トゥオミネン=ニイットゥラ《雨の中で》
大きな陶器のくぼみに水が張られています。
岐阜県美術館蔵の小清水漸の《作業台》を思い出しました。
ギャラリーⅡでは「リトルガーデン」展をやっています。
花フェスタ2015ぎふ連携事業とのことで、ほとんどが所蔵作品展。
最初にマイセンのかわいらしい陶磁器人形《庭師の少年少女》
ロイヤル コペンハーゲン《フローラダニカ》
草花の絵付けの洋食器(チラシ裏面下左)
洋食器の絵付けに花のモチーフは定番ですよね。
マイセン《花果実飾壺》(チラシ裏面中段右)は、
うーん、この装飾過多はちょっと日本人の感性にはないな‥‥と
この間見てきた、
ヤマザキマザック美術館「世界に挑んだ明治の美」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-06-16
宮川香山が高浮彫の作品を作ったのは、こういう西欧の陶器を
見たからなのかなと。
「きになるかたち」展のアンケートに答えてもらったポストカード
(アンケートに答えてくると抽選でプレゼントが当たるんですよー!)
マイセン《クロッカス模様テーブルセット》
1896-1906制作だそうですが、この抽象化模様がなかなかモダンだなと。
二階には、滝口和男の器がまとまって展示されていました。
タイトルが詩的ですね。
《春うらら》《ロワールの記憶》《夜の王者か》《移り行く散歩のかたち》‥‥
どれがどういう作品だったのかは忘れてしまったけど(^^;;)
最後の展示スペースにあった
川口淳《色絵近彩楽園文磁器・夢の日記の器たち》1999年 が、
遊園地のような楽しい模様で良かった!
「きになるかたち」展で《記憶の断片(Ⅰ)(Ⅱ)》って作品が
川口淳だと気づいて、え?!全然イメージ違うじゃん!って驚いたんですが。
今回もいろんな陶磁器を見て楽しい時間を過ごさせてもらいました。
(あ、アンケートで、来館は、2回以上5回未満ってとこに○つけたけど、
今回で6回目でした。)
「きになるかたち」展は8月30日(日)まで、
「リトルガーデン」展は7月5日(日)までやってますよー。
岐阜県現代陶芸美術館:
http://www.cpm-gifu.jp/museum/
現代陶芸美術館の過去記事
岐阜県現代陶芸美術館「世界とつながる本当の方法」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-03-20
国際陶磁器フェスティバル美濃'14
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17
岐阜県現代陶芸美術館「大織部展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-10-15
岐阜県現代陶芸美術館「フランス印象派の陶磁器」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-08-30
岐阜県現代陶芸美術館「ラテン!」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-06-18-1
岐阜県現代陶芸美術館「デミタス コスモス」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2014-06-18
岐阜県現代陶芸美術館「陶芸の魅力×アートのドキドキ」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2013-07-09