5月13日(日) 豊田市美術館「ブリューゲル展」を
見に行きました。とてもよかったです。そのことは前記事に
豊田市美術館は常設展(っても毎回違った展示なんですけど)も
充実しているので楽しみなんです。
2階の展示室1から始まるのが、2018年度常設展第Ⅰ期
「コレクション:閉じる、開く、また閉じる。」
出品目録のリーフレット素敵!
折り目の間に読める文は
世界が点からはじまるとしたら、
点はいったいどのようにはじまるのだろう?
リーフレットを開くと
わたしが目を閉じると、世界はどうなるのだろうか?
開かれるのだろうか、それとも閉ざされるのだろうか?
あなたが目を閉じたときには?
宇宙はどのように発生したのだろうか?
宇宙は収縮に転ずることはあるのだろうか?
世界が点からはじまるとしたら、
点はいったいどのようにはじまるのだろう?
世界がつねに移ろうものだとしたら、
移ろわないものは
どのようなかたちをしているのだろうか?
肯定と否定は、どちらが多いのだろうか?
一日(一年、そして一生涯)のうちでは?
あるいは、きょう一日で、この世界に、
肯定と否定のどちらが多くなされただろうか?
テキスト|鈴木俊晴
デザイン|岡田和奈佳
この「閉じる、開く、また閉じる。」ってタイトル
豊田市美術館が 2018年7月17(火)~2019年5月31日(金)
リニューアル工事のため休館するって聞いた時、
「え?! 2014-15年にも1年間リニューアルで休館してなかった??」って
思ったんですよ。そんなことも含めてのタイトルかな?って。
展示室の入口からも見える巨大な作品は、
ジュゼッペ・ペノーネ《まぶた》1989-91
半円形の形は巨大な「まぶた」の形に見えるかな。
近寄って見ると、一つ一つの布に石膏の目がつけられています。
持ち帰ることができる作品解説がありました
表面に無数の線が描かれた布を組み合わせた子の作品は、
全体として一つの「まぶた」の形をしています。
そしてその一枚一枚がまぶたの写しなのです。閉じたまぶたの表面から、
皮膚に刻まれた皺の形状を半透明のフィルムに写し取り、それを映写機で
布の上に拡大投影してできた、皮膚の表面の無数に入り組んだ筋を
なぞってできたものです。一つ一つの「まぶた」には、
石膏で象られた顔がつけられています。(後略)
白くて広い部屋の中央の白い台にコロンと幼児の顔の彫刻が置かれています。
コンスタンティン・ブランクーシ《眠る幼児》1907(cast1960/62)
以前の常設展で見たことがありますが、こんな広い、低い台に置かれていると
また違った印象です。
バックに見える黒い作品は、村上友晴《無題》1989-90
こちらの壁には、草間彌生《No.AB>》1959
上手く写らないだろうって思って写真は撮りませんでしたが、
ピエロ・マンゾーニ《無色》1960
白いカンヴァスに襞がよっているんですが、
画面がとても美しいって見たのは、カオリン(白陶土)が
使われているからなんでしょうか。
この部屋はモノトーンで構成されているんですね。
階段を上がって3階へ向かいます。
3階の展示室2への通路に置かれていたのが
野村仁《宇宙はきのこのように発生したか》1987(右) と
《宇宙は収縮に転ずるか?》1989(左)
ハハハ、きのこ!! なんかユーモラスでもあり、宇宙という
雄大さや哲学的なことを感じるようなガラスの造形、いいな!!
野村仁は、2012年の愛知県美術館「魔術/美術」展 で、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2012-06-12
岐阜県美術館所蔵の野村仁《勃起する真空》が、
最初に展示されていて、とてもインパクトあったんですよね。
その時に、野村仁は作品としてソーラーカーを作ったこともあるって
ことだったんですね。豊田市美術館では野村仁の
《赤道上の太陽》1989年 って作品も所蔵してますね。
不思議な形のオブジェだと見てたら、赤道上から
太陽の一年間の軌跡を表したものなのだそう。
後ろの窓から豊田市美術館のテラスにある
ダニエル・ビュレン《色の浮遊│3つの破裂した小屋》が
見えるのもいいですね。雨かなり降ってます。
小さな展示室2 には、杉戸洋《untitled》2007
‥‥うーん、私にはどうもこの人の作品よくわからないなぁ。
子どもの落書きを大きくしたような‥‥詩情みたいなものは感じるんですけど。
乳白色のガラスを通して光があふれる展示室3では、
白い球形が置かれています
ジェームズ・リー・バイヤーズ《球形の本("Q is Point")》1990
球形の表面に「QIS」と彫られて、穴が開いています。‥‥うーーん??
この黒い絵は、
イミ・クネーベル《戦闘 No.1》1991
黒い板に無数の削り跡が見えます。持ちかえった作品解説によれば、
「クネーベルはこうした黒い作品を1991-92年の湾岸戦争をきっかけに手がけました。
テレビのなかの闇夜に飛び交うミサイルの軌跡。どこか現実味を欠いたその光景を、
色彩を塗り重ねるのではなく、闇を削るという通常の絵画とは逆のやり方で
手繰り寄せ、緊張感とエネルギーに満ちた物質として目の前に現そうとしています。」
あ、高松次郎の絵があると見たら、手前の立体作品も高松次郎なんですね。
《点(No.1)》1961年 と
《紐(黒No.1)、紐(黒)》1962
「点」と「線」でなく、「紐」ってタイトルが面白い。
高松次郎といえば、影の絵ですよね。
《赤ん坊の影 No.122》
地下鉄の名古屋駅にも高松次郎の作品がありますね。
名古屋市美術館コレクション展と高松次郎《名古屋駅の人々》
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25
台風のような雨が降っている街を見下ろすことができた通路には、
ヨーゼフ・ボイスの
《はい、はい、はい、はい、はい、いや、いや、いや、いや、いや》1968(2001)
という音響作品(?)が流れていました。
展示室4の前の窓から、展示室1の
ジュゼッペ・ペノーネ《まぶた》を見下ろすことができます。
展示室4からは、
「コレクション:豊田市美術館+愛知県美術館」
豊田市美術館は2019年6月まで改修工事のため休館します。
休館前の最後のコレクション展は、同じく目下改修工事で休館中の愛知県美術館から
お預かりしている名品を加えた豪華ラインナップ。(出品目録より)
ってことで、愛知県美術館の所蔵作品と豊田市美術館所蔵作品が
並んで展示されてます。 そしてっ!! 写真撮っていいんですよっ!!
愛知県美術館では写真撮れないので、この機会に名品を撮影しちゃいました!!
サム・フランシス《消失点に向かう地点の青》1958
愛知県美術館の展示室5によく展示してあって見慣れた(?)のか、
最近なんかいいなって思えてきました。
サム・フランシスは、名古屋市美術館「モネそれからの100年」展でも
展示されていたし、(ブログにはサム・フランシスのことは書いてませんが)
名古屋市美術館「モネ それからの100年」展
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-05-25
岐阜県現代陶芸美術館「1964」展 では、
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2018-01-28
サム・フランシスの陶芸作品が展示されてました。
おぉー、両館のミロの作品が並んでます!
左が愛知県美術館のジョアン・ミロ《絵画》1925
右が豊田市美術館のジョアン・ミロ《絵画》1933
ミロはタイトルがそっけないんですね。
愛知県美術館のミロ、私個人的に、
「雲の中の太陽と雨」ってタイトルつけてます。
たまたま隣で見てた女の子の言葉からなんですけど。
こちらはエルンストのコーナーができちゃってます。
左が豊田市美術館のマックス・エルンスト《子供、馬そして蛇》1927
真ん中の彫刻が豊田市美術館の《王妃とチェスをする王》1944(cast1954)
右が愛知県美術館のマックス・エルンスト《ポーランドの騎士》1954
エルンストの彫刻いいなぁー!
展示室4を出て、階段を降り、
展示室5へ入ると、両館が誇るクリムトの作品が並んでます!!
左が豊田市美術館のグスタフ・クリムト
《オイゲニア・プリマフェージの肖像》1913/14
右が愛知県美術館の《人生は戦いなり(黄金の騎士)》1903
クリムト《オイゲニア・プリマフェージの肖像》の隣には、
エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》1917
豊田市美術館を代表する名品ですね。
両館の藤田嗣治が並んでいます。
左が豊田市美術館の《美しいスペイン女》1949
右が愛知県美術館の《青衣の少女》1925
でも今回驚いたのは、豊田市美術館、こんなにエゴン・シーレの作品
持ってたの?!!!ってこと。
《カール・グリュンヴァルトの肖像》はよく見るんですけど、
2016年6月に豊田市美術館「デトロイト美術館展」へ
行った時の 常設展で、えっこれもシーレの作品なの??って
男性の肖像画を見たんですよ。それが
《レオポルト・ツィハチェックの肖像》1907 (写真中央)
そして素描や版画なども並んでます!!
椅子はヨーゼフ・ホフマン《リクライニングチェア(座るためのマシーン)》
製作1905年頃
豊田市美術館「デトロイト美術館展」
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-06-27
豊田市美術館「絵画凸凹」他
http://shizukozb.blog.so-net.ne.jp/2016-06-29
エゴン・シーレの《第49回分離派展のポスター》1918 と、
ヨーゼフ・ホフマン《サナトリウム・プルカースドルフの食堂の椅子》
製造/1904
うわーー!! 世紀末ウィーン展ですねっ!!
(このあたりの退廃的な雰囲気、私的にはたまりません!!)
エゴン・シーレもクリムトも、1918年に亡くなったそう。
どちらも没後100年ですかー。
ということで、企画展も常設展もとても満足して、高橋節郎館へ。
豪華な漆の作品ももちろんいいですけど、私のお気に入りは
休憩室からの眺め! この日は雨に濡れた新緑がとてもきれいでした。
インスタに投稿した画像
雨も小降りになったので、庭を歩きました。
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カキツバタが咲いています。
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インスタに投稿した画像
私(shizukozb)のインスタのページ: https://www.instagram.com/shizukozb/
豊田市美術館は建物も素敵!
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豊田市美術館: https://www.museum.toyota.aichi.jp/